2023年12月鑑賞映画ひとことレビュー | (ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

(ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

月一で初鑑賞映画の感想を書いてます。
あくまで個人の感想です。立派な考察・評論は出来ませんのでご容赦下さい。

2023年12月鑑賞映画ひとことレビュー

 

12月の鑑賞本数は26本。

 

◻︎「バウンティー・ハンター」

 初々しい兄貴も素敵です。

 【65】

 

◻︎「GAMER ゲーマー」

 兄貴の無駄使い感が切ない…

 

 【55】

◻︎「キル・ハント」

 かなりガチなスラッシャー。予想以上に楽しめました。

 【55】

 

◼︎「ナポレオン(2023)」

 齢86(!)にして精力的過ぎるリドリー先生の新作にしてなんとも言えない(個人的に)超問題作。

 皆さんこ存じ、フランス屈指の英雄にして歴史上きっての有名人であるナポレオンの生涯を描いたスペクタクル巨編なわけですが、これがまたスペクタクルアクション映画としては近年並ぶもののない大傑作なのに、人間ドラマとしては如何にもこうにもいい加減過ぎる駄作という、ある意味リドリー先生らしい映画となっておりました。

実際アクションは凄まじいの一言。CGを廃した(いや実際には使いまくりなでしょうが)人海戦術の合戦シーンの迫力ときたら、美し過ぎる映像と相まって壮絶の一言。これまでの経験で慣れてるとはいえ、ここまでの大規模撮影を必要とする映画をこの短期間で撮れてしまうリドリー先生の胆力というか馬力が本当に恐ろしい。正直そんな職人芸大爆発な合戦シーンを見られるだけで満足って言えば満足なのですが、とはいえやっぱりナポレオン。稀代の英雄にしてカリスマの生き様をどう描くのか気にあるところではありましたが、これがまたなんとも言えない微妙な感じ。妻ジョセフィーヌとの関係を軸に生涯を描いていくわけですが、これがわかりにくいというか全然入ってこないというか。ナポレオンの行動原理が妻にかっこいいところ見せたいっていうのならそれはそれで面白いのですが、そう単純な訳でもなく、いろんな感情が渦巻いているようで、それが全く見えないというか。ホアキン・フェニックスの演技にしても場当たり的というか映画の流れとしての関係性が見えづらく、なんとも捉え所のない薄っぺらい人物に見えてしまいました。

 これはもうひとえに先生がシナリオを解釈無しに字面そのまま映像化したのが原因で、合戦と蝋燭撮影に神経を集中しまくった結果。まあこの映画に関しては先生の“心の師匠“キューブリックへの情熱的なラブレター以外の何物でも無いので、こういう感じになるのは必然と言えば必然かと。ホアキンが困っているのが丸わかりな演技も含め、ある意味非常に先生らしい映画でした。

【75】

 

◼︎「エクソシスト 信じる者」

 「ハロウィン」を現代風にリブートして成功した監督による、二匹目のドジョウを狙ったリブート映画。

 「ハロウィン」の時にも感じたのですが、基本この監督ホラー映画好きじゃ無いんだろうなと。いかにも現代ホラー的な演出を使ってそれなりに見せてますが、それ以上の勢いも無く、昔の名前をさんざか利用して商売しよう的な雰囲気と、中二病的なマウント感がプンプンしているのがどうにも不快というか姑息というか。まあそんな気持ちで映画なんて作れる訳は無いので杞憂かとは思いますが、やっぱり今回もそんな雰囲気に満ちた映画となっておりました。

今回の犠牲者はかのマスターピース。カルト以外の何物でもない怪作2や大傑作の3を差し置いて、直接の続編という立場なのですが、それが関連するのはエレン・バースティンのみ。お話自体は全くの別物で、色々なところをスケールアップというかばジョンアップしているのですが、これが全て的外れ。「エクソシスト」で見たいのはこんなあからさまな家族愛や宗教礼讃なんかじゃ無く、悪魔の奸計に抗う普通の人々の葛藤と救済だと思うのですが、これがまあ全て軽いというか陳腐。いやこれが「エクソシスト」シリーズっていう冠がなければそれなりに楽しめる出来ではあると思うのですが、偉大な先人たちの名を借りてこの軽さはやっぱり納得できないのです。そこを踏まえての物語の展開もコレジャナイ感(クラマックス前の中二病的なひっかけなんて最たるもの)があまりに酷く、ほんとウィリアム・ピーター・ブラッディ(この方のVSフリードキンの時の情熱を見よ)の爪の垢でも煎じて飲んでいただきたいと痛切に感じた次第です。

【65】

 

◼︎「香港怪奇物語 歪んだ三つの空間」

 香港版「世にも奇妙な物語」か「新・耳袋」といった感じの怪奇譚オムニバス。 1作目は王道の怪談、2作目は昨今はやりの配信クソ野郎を主役にしたパニックホラー、3作目はいかにも香港らしい情緒とサービス精神あふれるコメディタッチホラーと、それぞれ特徴的なものが集まった1作となっております。

 全体に完成度的には今一つ。それぞれのエピソードもそこまで目新しいものも無く、それなりに楽しめるもののどこかで観たようなお話や作りばかりなのはちょっと残念。3作目の展開にかろうじて可能性は感じたものの、総じて平均点な映画でありました。

 香港という、特殊で魅力的すぎる世界を生かしたような作品が無く、どこでも成立するようなお話ばかりだったのもマイナス点。3作目についてはそんな土地の魅力を生かし切れていないところに限界を感じたりしました。

 とはいえこういう映画が劇場公開される事自体喜ばしい事。特に役者さんたちの、これからもどんどん紹介してほしい才能たちが一杯観れたのはなんだかうれしかったです。

【65】

 

◻︎「ブラックサン NETFLIXオリジナル映画」

 雰囲気は良いし、力作なんだけれど、想像を超えてこない映画でした。

 【65】

 

◼︎「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

 なんだか今更感が半端ないなあと思っていたら、これ、ティム・バートン版の前日譚では無く、1971年版「夢のチョコレート工場」の前日譚だったのですね。それはそれで今更なんですが笑、いやいや非常に完成度の高い、いかにもイギリス的なブラックな笑いに満ちた変化球ミュージカル映画でした。

 ジョニデが演じた変態ウォンカと異なり、今一番美しい(と言われてますね)ティモシー演じるウォンカはかなり真面目で陽気でまとも。亡き母との約束を果たすべく、修行を積んで努力したと思われる好青年っぷりがどうにも退廃的な雰囲気があるティモシーには今一つ合っていないような気もするのですが、そこは歌とダンスでカバー。ザ・ミュージカルな幻想的で楽しいシーンてんこ盛りなのはやっぱり楽しいもので、オーソドックスな落ち着いた演出をする監督の個性と相まって、弾けている様でしっかりとした骨組みのある映画となっております。

 まあ裏を返せばバートン版にあったハチャメチャな楽しさは薄く、バートン版が好きな方には物足りない印象なんだろうなあとは感じました。結構悪意に満ちた登場人物や描写も多いのですが、本来の底意地の悪さが(性格最悪らしかったみたいで)滲み出ているロアルト・ダールものとしてはそこまで振り切れていない印象。そこはパディントンの行儀の良さが勝ってしまったのでしょう。そこの加減をどう見るかなのですが、それを踏まえてファミリー映画としては満点の出来だと思います(まあ底意地の悪い映画オタクには物足りないのですが)。

 ヒュー・グラントのウンパ=ルンパはやりすぎです苦笑

【75】

 

◻︎「レンフィールド」

 これ結構話題になっていたのにまさかの配信スルー。配信開始と同時に速攻で鑑賞。いやー久々の王道おバカコメディホラーでした。

 吸血鬼ドラキュラの下僕という究極のブラック企業(?)で働くレンフィールド君の自由への旅立ちという、日本のラノベでありそうな設定ですが、いかにもなドラキュラさんや全体の雰囲気なんかは完全に往年のユニバーサルホラーへのオマージュ。そんな世界の中で、どんどん加速する時代の流れに飲み込まれた悩める虫食い青年レンフィールド君をニコラス・ホルトがまあ生真面目青年として生真面目に演じてます。それに対するドラキュラ=ニコラス・ケイジのまあ楽しそうな事。久々の大手スタジオ映画なのに、そんなの関係ねえと言わんばかりのインディペントなメソッドアクティング笑。往年のドラキュラたちへのリスペクト+トゥーマッチなグロ描写の相乗効果でアップデートされた古典は、大盤振る舞いの出血大サービスな娯楽映画となりました。

ラストの展開も含め、悩める現代人へのエールという、あまりにミスマッチなテーマをこういう方法で映画にした制作陣達の遊び心に敬意を表します。

【70】

 

◼︎「VORTEX ヴォルテックス」

 作る映画全部が全部暴力と性に彩られた異常世界という変態監督ギャスパー・ノエの最新作は、そんな暴力や性を封印し、愛と死をテーマにした究極の鬱映画。

心臓病を抱える夫と認知症を患う妻。そんな二人の人生最期の瞬間を描いた映画は、否応なく現実を突きつけます。時限爆弾を抱えた夫と、徐々に最期へ向かって落ちていく妻の対比は、ともすれば妻に対する夫の苦悩を描いた感涙ものになりそうなのに、この監督はそんな感動を一切排除。どんどん荒れていく部屋、汚いトイレ、醜い服装、壊れていく妻に対する夫のいらだち、現実から逃げるダメ息子、そんな現実を容赦無く見せつけられる映画はどんなホラーよりも恐怖。現実から逃げるようにファンタジーとして認識していた現実を、妻と息子がラストあたりで受け入れる様(薬を捨てる。麻薬を打つ)は本当に恐ろしかったし、そういう展開に躊躇しないこの監督の遠慮の無さというか、映画というものに対する姿勢は、個人的には好きではないけれど受け入れられざるを得ない力強さがあると感じました。

 色々なギミックを駆使し、奇を衒った映画が多く、必ずしもすべてが成功とは言えないノエですが、今回の分割スクリーンの使い方はお見事。分割クリーンを使用した空間トリックも含め、分断というテーマに沿った今作は全てがきっちりハマった印象。

個人的にはノエの最高傑作だと思います。

あとアルジェント、初主演なのにお見事。さすがです。ただ太りすぎで心配です泣。

【75】

 

◻︎「ヴィーガンズ・ハム」

 妙に評判が良かったけれど、インパクトのみって感じで。

 【65】

 

◻︎「禁じられた遊び(2023)」

 設定は新鮮味があってなかなかだけど、とにかく学芸会レベルのジャスト陣と監督のやる気の無さがあまりに酷い勿体無い駄作。

 【60】

 

◻︎「ゴーストフライト407便」

 雰囲気最高。アジアの怪談らしい因果応報と恨みがきっちりあって遠慮ゼロなのが楽しいです。

 【60】

 

◼︎「マエストロ その音楽と愛と」

 NETFLIXオリジナル映画ですが、この内容ならやっぱりとスクリーンで鑑賞。とにもかくにも力作!という言葉がぴったりな映画でした。

 レナード・バーンスタインについては恥ずかしながら「ウェストサイド物語」くらいしか作品を知らず、性的指向については少々知っている程度の浅学なので、ある意味フラットな目線で見る事が出来ましたが、これは自伝というより、妻であるフェリシア・モンテアレグレとの結婚生活を描いた映画といった方が正解。なのでバーンスタインの人生についてはあまり触れられていないのをどう取るかで印象が違ってくると思うのですが、個人的にはもう少しバーンスタインという人物を知りたかったなあというのが正直なところ。自由に正直に人生を生きる天才を描いたにしては少々軽いというか薄いかなあという印象はありました。ブラッドリー・クーパーは大熱演でそっくりさんではない、人生を感じさせる演技をきっちり見せていましたので、物語のバランスとしては仕方無いとは言え、ちょっと勿体ないなあとは思いました(特に中盤のオーケストラのフルバージョンシーンは圧巻)。まあ妻役のキャリー・マリガンがあまりに素晴らしいのでトントンなんですが。とにかくキャリー・マリガンの、妻としての愛と、女としての矜持、母としての強さと、芸術家としての共感をきっちり感じさせる演技はお見事の一言。テクニカルではない、自然と出る演技のすごみを感じさせていただきました。

 監督2作目でこの完成度、前作の「アリー スター誕生」は結構独りよがりな見栄と強がりも見られたブラッドリー・クーパーですが、今回は物語を語る事に徹底した適格なショットのオンパレード。次回作はわかりませんが、ちょっと軽い映画で本当の腕前を観たいところもあります。

【75】

 

◻︎「サイレント・ナイト(2023)」

 アイデアは面白いのだけれど…昼ドラ並の陳腐な人間ドラマがなんとも。子供の悪態がリアルにむかつく。

 【60】

 

◻︎「#マンホール(2023)」

 とりあえず全部ぶち込みました的な感じは楽しいけれどかなり強引で盛り込みすぎ。そこがいいって言えばいいのですが、戦略的な感じがして鼻につきました。

 【65】

 

◼︎「TALK TO ME トーク・トゥー・ミー」

 ”90秒間憑依チャレンジ”なんてアイデアを思い付いた時点で勝利確定なニューウェーブホラー。オーストラリア独特の空気感の中展開されるかなりダークで鬱な展開な物語は言ってしまえば今風。なのでウケたのも納得だし、完成度も結構高い映画でした。

 2年前の母の死と向き合えずにいる高校生ミアは、友人からSNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」に誘われ、気晴らしに参加してみることに。それは呪われているという“手”のかたちをした置物を握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が憑依するというもので、その“手”は必ず90秒以内に離さなければならないというルールがあった。強烈なスリルと快感にのめり込みチャレンジを繰り返すミアたちだったが、メンバーの1人にミアの亡き母が憑依してしまい…(映画.comより)

 とまあよくある降霊もののバージョンアップ版という感じではありますが、妙に自分本位でイラっとする主人公(まあここで先の展開が読めるっていうのもありますが)や、憑依を”面白いもの、気持ちいいもの”という快楽として描くという、ことごとくセオリーから少し外れたところで勝負しているのがミソ。ドラッグのメタファーである憑依チャレンジは新鮮味があるし(とはいえ霊に取りつかれてなぜハイになるのか今一つ理解できないのですがまあそれはそれ)、イカした”手”のデザインをはじめとして恐怖シーンやグロ描写のセンスはなかなか。”霊に取りつかれる”事で自分を見失う、乗っ取られるなんてまんまドラッグなので、ある意味その手の啓発映画よりも効果があるように思います。

 主人公の母親がらみの話が出てきてからはよくある話になって来た感もあり、ちょっとトーンダウンしますが、”薬中がどんどん自暴自棄になり周りに迷惑をかけて破滅する”というお話としては至極真っ当な展開でもあり、しかも救いが無いラスト(結構途中で読めますが)はある意味納得な”正しい”映画でもありました。

アメリカでもイギリスでも日本でも無いオーストラリア独特の社会感も含め、なかなかに個性的なところが好印象ホラーでした。

【75】

 

◼︎「映画 窓ぎわのトットちゃん」

 正直全く観る気が無かったのですが、ネットでの評判がやたら良いのでとりあえず鑑賞。完全に舐めていたんですが、まあ50超えのおっさんが劇場で大号泣という、昨今稀に見る傑作アニメでありました。(ちなみに原作は未読)

 好奇心旺盛でお話好きな小学一年生のトットちゃんが落ち着きが無い事を理由に学校を退学させられてしまうところから物語はスタート。東京・自由が丘にあるトモエ学園に通うことになったトットちゃんは、恩師となる小林校長先生と出会い、子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもとでのびのびと成長していくというのが大まかなストーリーなのだけれど、とにかく良く動く。トットちゃんはもちろん、お父さん、お母さん、校長先生など学校関係者、クラスの友達からはては駅員さんから雑踏まで、それぞれが個性を持ってきちんと動いていることにまず感動。そんな繊細で丁寧過ぎる仕事ぶりからリアルさという魔法がかかるのだけれど、それをふりきるようなアニメ的ファンタジーが随所に盛り込まれる幸福感。トットちゃんの好奇心そのままが映像化されたような夢の世界は本当に美しく楽しい世界。好奇心の塊だからこそ、障害や他人が目をつぶるような余計な事に対して素直(平等ともいえるかも)な行動をとるトットちゃん、正直周りにいたらうざいけれど、あくまでトットちゃん目線という立ち位置を変えない事と、考えぬかれた映像表現で感情移入出来るキャラとして昇華。あくまでアニメでしかできない表現を駆使しているその理解のすごさに感動します。そして戦争がもたらす狂気に対しても、あくまでトットちゃんの目線で見せ切るその感覚は、だからこそ戦争という罪悪の恐怖をまざまざとリアルに感じさせるという副次的な効果をも生み出していたりします。

 いかにもではない、あくまでトットちゃん目線での戦争という、その感覚が見せるリアルな狂気(取り巻く環境、両親など関係のある人々の反応とトットちゃん自身の成長も含め)は「ゴジラマイナス1」が圧倒的にダメだった要素。だからマイナス1は駄作であるし、トットちゃんは傑作なのだと痛感しました。

【85】

 

◼︎「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

 観る気が無かったのに評判良かったので観たら傑作だった第二弾。

 かの大スター鬼太郎の誕生の秘密を描いたオリジナルアニメなわけですが、「鬼太郎誕生」は昔読んでいたので一応鬼太郎の誕生シーンは知っていたのですが、前情報一切無しで観たせいか、まさか戦後10年目を舞台にした映画だとはつゆ知らず、しかも登場人物はみんな水木タッチじゃないし、その後のもろ”犬神家の一族”だった時は自分は一体何を観ているのだろうかと思っていたら、殺人事件からのゲゲ郎登場、そして本当の悪夢世界が判明していく怒涛の展開は驚きの連続。水木とゲゲ郎のバディものとしての面白さは勿論、歴史の暗部を描く事で全編を通して現代社会を痛烈に風刺(批判)したそのストーリーは強烈にして猛毒。ラスボスのセリフすべてが現代の政治家や上級国民に対する直接的な文句になっているのがあからさま過ぎて逆に痛快だし、そんなラスボスに鉄槌を下すのが虐殺され搾取されている人々であるというのもまた爽快。だけれど結局誰もが幸せになれるわけではないというそのリアルさもまたこの映画の醍醐味。アウトサイダーとしての妖怪たちの立ち位置が水木先生の願望やメッセージだとしたら、この映画はその思想をしっかり受け継いでいると言えるでしょう。

 ラストクレジットに感涙しつつそんな他愛もない事を考えていましたが、水木とゲゲ郎はかっこいいし、猫娘はやたら可愛くなってるし(というかこの映画だと鬼太郎たちが浮いてるのがまた面白い)、アクションは迫力満点だし、横溝調でサクサク進むストーリーは素直に面白いし、それだけでもう十分いい映画でした。

【80】

 

◻︎「ヘルレイザー(2023)」

 これじゃない感のオンパレード。もうこのシリーズはクライブ・バーカーが直接作る以外はどうやっても無理だと思います。

【60】

 

◻︎「シュシュシュの娘」

 独特な雰囲気を持った良作だとは思います。がそれに満足してるような感じがあるのが勿体無い。

【60】

 

◻︎「REBEL MOON パート1 炎の子 NETFLIXオリジナル映画」

 シュナイダー版「スターウォーズ」というより、「ジュピター」みたいなヘンテコ映画。総じてキレが無いように感じるのはTV画面だからかそれとも演出力の低下か。細部へのこだわりが微妙におざなりなのもなんだからしく無くって切ない。

【65】

 

◻︎「マーシー・ブラック」

 この手の中ではかなり頑張ってる方で完成度も中々ですが、如何せんその上限を超えるものが皆無なのがなんとも。

【60】

 

◼︎「NOCEBO ノセボ」

 原因不明の体調不良に悩まされるファッションデザイナーを襲う怪異を描いたスリラー。信頼を寄せたフィリピン人乳母の民間療法がデザイナーとその家族を悪夢へと追いやっていくというストーリーなのですが、これはある意味エヴァ・グリーン様を堪能する映画であります。この方ものすごく冷めた三白眼をした方なのですが、汚れ役もバンバンこなし、ヌードも平気、そしてとにかく美しいという、そんな役者根性と美の両方を兼ね備えた生粋の女優さんだとかねてから思っていたのですが、今回もしっかりやらかしてくれております。お話自体も良く出来ていて、強欲デザイナーの因果応報、まさに呪術廻戦的なイヤーな展開が待っております。実際しっかりとした作りで演出も手堅いし、物語としての子供の扱い方も極悪だけれど納得という、非常に鬱展開でその筋的には好感度大な怪作なのですが、なんだか評価が低いのはちょっとした社会問題をテーマにしちゃったからかなあとは思います(とはいえそれのインパクトの重さがこの映画の肝なのですが)。あまり深く考えず”やっぱり人には優しくするべきよね”位な感じで楽しめば良いかと思います。

【65】

 

◼︎「アンブッシュ」

 内戦下のイエメンを舞台に、敵軍に囲まれた装甲車の救出に向かったUAE軍兵士たちの死闘を、実話を基に臨場感たっぷりに活写したミリタリーアクション。

 と言えばアメリカンな感じもしますが、監督がフランス人のまごう事無きUAE産という珍しい映画です。

とにかくアクションアクションアクション。取り残された3名の救出に、戦車やヘリ、果ては戦闘機まで繰り出して炸裂する戦闘シーンは物量攻撃の嵐。ひたすら銃を撃ちまくる、好き者にはたまらない大迫力映画となっております。ただそれが延々と続くので正直飽きが来たりもするのですが、まあそこはご愛敬。あと色々兵士同氏の確執や友情、家族の絆なんかも描かれたりするのですが、如何せん皆さん同じ様なスキンヘッドでひげ面マッチョのザ・漢たちなので、ごめんなさい区別がつかなくて頭に入ってこなかったです(これはアラブの方々を見慣れていない自分のせいです)。

 リアルと言えばリアルなだたひたすら戦闘するだけの映画ですが、実話ベースとはいえやっぱりフィクションですので、ある程度の工夫はほしかったのが正直なところです。

【60】

 

◼︎「サンクスギビング」

 久々の楽しい楽しいスプラッタ・スラッシャー映画。フェイク予告から生まれた殺人鬼は、復讐に取りつかれた、やりたい放題の料理人でした。

 感謝祭発祥の地とされるマサチューセッツ州プリマス。年に1度の祝祭に人々が沸き立つ中、ダイナーで働く女性が何者かに惨殺される事件が起こる。その後も相次いで住民たちが姿を消し、感謝祭の食卓に並ぶご馳走に模した残酷な方法で殺されていく。街中が恐怖の底に突き落とされる中、地元の高校生ジェシカたちは、ジョン・カーヴァーを名乗る謎の人物のインスタグラム投稿に自分たちがタグ付けされたことに気づく。投稿を確認すると、そこには感謝祭の豪華な食卓とともに、ジェシカたちの名札が意味深に置かれていた…(映画.comより)

 事件の発端となる開幕のスーパーでのパニックシーンから絶好調。ブラックフライデーのセールに群がる群衆たち(そんなにワッフルメーカーが欲しい理由はわかりませんが笑)の溜まりに溜まった狂気が爆発した瞬間からの怒涛のシーンは、その狂乱さと凶悪さの迫力が段違い。エキストラを含めみんなが真剣にやっている様がはっきりわかるその演出力とワッフルマシーンとのギャップのブラックな笑いでまずしてやられた後、その暴動に絡んだ人々が手を変え品を変え殺されていく様は創意工夫の塊。やっぱり惨殺シーンは工夫してナンボなんだなあと苦笑い。主要人物が全員クソ野郎(ヒロインのビッチ感がすさまじくて大笑い)だったりな王道展開の中、創意工夫と謎でつなげていく手腕はさすがのイーライ・ロス。いろんなホラーに目くばせしつつ、世にも気色悪い死体たちを積み重ねていく快感はやっぱりスラッシャー映画の王道だと改めて感じだ次第です。

 もちろん観る人を選びまくる映画ではありますが、人間ターキーだけでも一見の価値があるのでぜひご覧ください。

【75】

 

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