2026年5月 鑑賞映画ひとことレビュー
5月の鑑賞本数はちょっと少なめ27本。マンダロリアンの予習・復習で時間を取られました。
劇場公開作に当たりが多く幸せでした。
■「サンキュー、チャック」
最近は悪魔と天使の境目がだいぶ曖昧になって来たスティーブン・キング御大の短編を原作とした、非常にチャーミングな愛すべきニューマンドラマ。
大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。インターネットもSNSもつながらないなか、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という謎の広告が大量に現れる。高校教師マーティーが元妻フェリシアに会うため家を飛び出すと、誰もいない街はチャックの広告で埋め尽くされていた。無事に出会えたマーティーとフェリシアが星々を眺めながら終末の到来を感じ、手を握り合っていると、場面は一転して広告の人物・チャックの視点に切り替わり、彼の人生をさかのぼる物語が美しい映像で紡がれていく…(映画.comより)
映画は3部構成で、3、2、1と遡っていくのですが、最初の全世界規模の終末からどんどんスケールが小さくなっていくのがミソ。結局、世界は個人の集まりで、その個人が世界を作っているのだというメッセージ。一人のどこにでもいるような人間にもそれぞれドラマチックで唯一の人生があるという当たり前の事を、あくまでエンタテインメントとしての変化球を使いながらも、明確に伝えるという離れ業にこの映画は成功しているのがとにかく素晴らしい。もちろんそのメッセージ自体をテーマにした映画は星の数ほどあるし、名作も星の数ほどあるけれど、ここまで妙な構成の物語で成功した例はあんまり見当たらないのでは。サスペンスホラー的な終末世界と、愛に溢れる人間賛歌、またはマキシマムな世界とミニマムな世界という正反対の要素で、しかもエンタメ満載なこういう物語を仕立て上げるのはまさに円熟キングの真骨頂。そしてそれを映画というものの特徴を最大限に生かしたシーン(ネタバレになるので言えませんが、2部の胸躍りまくるあのシーン)で見事に描き上げ盟友フラナガンの(奇抜では無いし、それほど個性的では無いけれど、ものすごく丁寧な)演出が見事な相乗効果を生んでいます。
全体としてものすごく丁寧で真摯な印象を受けるのは、この主人公チャックの人生自体が、通してみればそれほど幸せではないところ。それを悪い事として描いているのではなく、それが最善の道だった事も最後にきちんと描いているのが素晴らしい。だから余計にあの中盤のシーンの開放感が鑑賞後増幅されて静かに心に残っていくのはこの構成最大の功績だと思います。
映画自体が派手さが無く、スケールが大きい割に低予算感でちょっとチープな感じも無きにしも非ず。それでもやっぱりかのシーンはここ何年かで最高のシーンの一つ(個人的には「アナザーラウンド」のラストと双璧)だし、素直に感動したという意味でも現状今年ベストに入る佳作でした。あと、映画も終盤に差し掛かる時、このシーンで終わったらバッチリなのにと良く思うのですが、この映画の締めくくりは、個人的には最高のタイミングでした。
【85】
■「センチュリアン」
1972年製作、ロサンゼルス市警の警察官たちの地獄巡りを描いた、ハードボイルド群像劇。
基本的にはベテラン警官と新米警官のバディもの。ベテランをジョージ・C・スコット、新米で実質の主人公をステイシー・キーチ(若い!)が演じている訳ですが、いやー流石70年代。とにか暗い、酷い、切ない。退職間近でリタイア後の優雅な生活を夢見ていたベテラン警官のあまりに悲しい結末(しかしスコット様の貫禄たるや)や、夢や使命感に溢れた好青年が、世間に揉まれ、悪に対峙するうちにどんどん薄汚れ、落ちていく様は、まさにザ・70年代。善悪や夢と野望が混在しまくり、多種多様、全てのものがごった煮状態の70年代の喧噪の中で、必死に己の正義を貫こうとし、闘い、挫折していく男たちの哀愁と苦悩がどストレートに描かれます。映画全体に漂う、ドラマチックな事件やヒーローもヒロインもいない、清濁併せ吞む大都会のリアルな空気感がそこはかとない魅力となっているのがやはりこの時代ならでは。それぞれのキャラ立ちもお見事で、登場人物全員が、本当に生きていると思えるのは、究極の職人監督フライシャーの凄腕演出の賜物。ストーリー的には幾度となく擦られ続けているので今観ると目新しさは薄いものの、この時代の中で懸命に生きた人々のドラマとして、非常に価値のある重厚な映画でした。
【75】
若き日のイーキン・チェンはカッコいいけれど脂っこい中華SFXが胃にもたれる感じで。
【60】
□「ゴールデン・ジョブ」
そんなイーキンに寄る年波を感じてしまった切ない映画。映画自体の出来はそこそこ良いです。
【65】
結構ガチ目なオカルトホラーでそれなりに怖いです。主人公のクソ野郎っぷりがなかなか。
【65】
□「リザード」
チープなCGトカゲが暴れまわるタイ産B級映画。タイ産の物珍しさとほのぼの感でプラス5点。
【60】
■「旅立ちのラストダンス」
昨年から「九龍城塞」とともに話題となっていた香港映画の大ヒット作がついに、ついに公開。いやー、待ったかいがありまくりだった涙涙の傑作でした。
ウエディングプランナーのトウサンはコロナ禍で多額の負債を抱え、やむを得ず葬儀業者に転職するが、結婚式と葬式は大きく異なり、さまざまな困難に直面してしまう。利益を追求したいトウサンに対し、ともに葬儀を取り仕切る厳格な道士・マン師匠は伝統を重んじており、2人は絶えず衝突する。しかしマン師匠やその娘マンユッと関わるうちに、マン師匠に対するトウサンのわだかまりは少しずつ消えていく。やがてトウサンは、マン師匠が葬儀で行う道教の伝統的な儀式「破地獄」の真の意味に気づきはじめる…(映画.comより)
マン道士にかのマイケル・ホイ、トウサンに香港では有名なコメディアンであるダヨ・ウォンを配したキャスティングがまず秀逸。名コメディアンは大体名俳優が多いのだけれど、この二人、とにかく雰囲気がいい。お話自体はかなりシリアスで、消えゆく香港の伝統を守ろうとしながらも、急激に変化していく現実の中で葛藤し、サバイブせざるを得ない現代香港人の悲哀と、その中でも芯を通して生きていこうとする人々の心意気を描いているので、実際、かなりハードでダーク。なのに全体に流れる温かくも和やかで、思わず綻んでしまうような空気感は間違いなくこの二人の持つ雰囲気のおかげ。営利一辺倒な現代人と、伝統を重んじる偏屈な老人の物語はともすればパターン的なありふれたものになりそうだし、実際、あらすじとしてはその通りなのだけれど、そこに香港の現在の状況やジェンダー問題などを絡めつつ、様々な目線を持たせつつも、あくまで人情物として描いたところがこの映画のミソ。生と死というテーマを描くのに、オープニングから死体を見せる事に躊躇せす、息子の死を受け入れられない母親の挿話にリアルすぎる死体を出すところなど、リアルな物語としての立ち位置から逃げ隠れしないその姿勢があるからこそ、この人情ドラマは胸に迫ってくるのだと感じます。
美しすぎる「破地獄」の舞が象徴する”伝統”は、ラストで未来への希望として再生する訳ですが、その展開も含め、今の香港人の気持ちが全て表現されているように感じましたし、だからこその大ヒットなのだと感じました。
まあそんな理屈はさておき、二人のコメディアンの熟練の演技、女優賞総なめのミシェル・ワイさんのリアルな中に圧倒的な感情を込めた熱演、それに現代香港人の象徴的なお兄さんなど、それぞれ生きているキャラが紡ぎだす、生と死、過去と未来、伝統と継承にまつわる美しくも圧倒的な人情悲喜劇。傑作です。
【85】
■「ひつじ探偵団」
やたら評価の高い本作。なるほど、確かに面白い映画ではありました。
イギリスののどかな田舎町。羊飼いのジョージは、愛する羊たちに囲まれながらひとりで暮らしている。彼は毎晩羊たちに探偵小説を読み聞かせているが、実は羊たちは物語を理解しており、その時間を楽しみにしていた。そんなある日、ジョージが死体となって発見される。羊たちはこれが事故だと信じようとせず、最も賢いリーダーのリリーを先頭に調査に乗り出す。手がかりを追ううちに、ジョージには巨額の遺産があったことが判明。愛するジョージの無念を晴らすべく、犯人捜しに奔走する羊たちだったが…(映画.comより)
というわけで、ジャンルとしては「ベイブ」が有名な、動物がしゃべる系のコメディミステリーであります。お話自体は結構しっかりとしたミステリーで、きちんと伏線もあり、ミスリードなんかも何気にやってるので犯人当てミステリーとしても及第点な出来なのですが、その探偵役が羊たちっていうのがまあなんともほのぼの、のんびり。すっとこどっこいでいかにもな警官を毛利小五郎にして、それぞれいかにもなキャラ羊たちのとっとこ謎解き冒険が繰り広げられるわけですが、そのいかにもなキャラの羊たちが実はいかにもじゃないのがこの映画のミソ。のどかな牧場生活で、一見何不自由なく暮らしている羊たちだけれど、実は様々な問題からひたすら目を反らし、ただ今を享受する事だけを望んでいるという、まさに現代社会の縮図。不条理に排除される子羊など、差別や偏見があるのに盲目的に信じ込み、忘れる事で全てを甘受する平羊たちはある意味ホラー。そんな中で問題意識を持つ主人公羊の葛藤や苦悩が、事件によって解放されていく様はなかなかに知的で哲学的。ほのぼのモフモフミステリーの裏側で、こういう裏テーマを混ぜ込む手際の良さはほんとハリウッド映画の十八番。もともとこういうのがものすごく上手だったピクサーが最近は凋落の一途なので、なんだか久々に良質のハートウォーミング説教系映画を観た気がしました。
【70】
この題名を付けた勇気は認めますが、いい感じの導入の割になんとも普通のお話になってしまうのは悲しいです。
【60】
■「ゼイ・ウィル・キル・ユー」
悪魔VS武闘派メイドという事で、結構話題になっていた本作。かの大傑作「ザ・レイド」を引き合いに出されるくらいなド派手アクションが悪魔崇拝の不死身集団に炸裂する様はやりすぎゴア描写と相まってなかなか痛快。なるほど、これは好きな者には堪らんなあと、全編ニヤニヤしながら楽しませていただきましたが…
ニューヨーク、マンハッタンに建つ高級マンション「バージル」。優雅なインテリアに囲まれ、高度に訓練されたメイドが住人たちの世話をする、誰もが憧れるような住居だ。しかしその実態は狂信的な悪魔崇拝者の巣窟で、住人たちは月に一度、無垢な女性をメイドとして雇っては悪魔への生贄に捧げる恐ろしい儀式を行なっていた。そして今夜もまた、1人のメイドが生贄に選ばれるが、彼女が思わぬ反撃に出たことで事態は一転。驚異的な戦闘能力を持つメイドは、斧やナタで悪魔崇拝者たちを次々と血祭りにあげていく…(映画.comより)
映画の雰囲気はまんまタランティーノ。監督本当に好きなんだろうなあというタランティーノのノリが映画全体に溢れていて、それはそれで微笑ましいのですが、いかんせん今更感が。せっかくのコリに凝ったアクション演出や満載のグロ、捻った構成や通好みの役者達がそのタランティーノ味で結構台無し。もちろん好みの問題もあるけれど、そここにあるオリジナルで独特な風味が濃いーソースで覆われて繊細な味が無くなった料理のようで本当に勿体無い印象。
あと、これも好みかもしれないけれど、このお話なら主役のザジー・ビーツはちょっと骨太過ぎかと。まあオープニングの流れからこのメイドが武闘派なのは分かるのだけれど、華奢でいかにも生贄的なメイドが実は…的な構成の方が面白みがあったのかあとも思いました。
とはいえあくまで個人の好みなところなので、前述したようにラストのブタさん含め、戦うメイドさんの勇姿を楽しませていただきました。
しかしパトリシア・アークエットはともかくヘザー・グレアムの変わらなさと言ったら…いやー相変わらずの美しさ…実は一番びっくりしたのはそこかもしれません(苦笑)
【75】
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督、2025年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
不当に刑務所に投獄された人々が復讐を試みる姿を、スリリングかつユーモラスに描いたサスペンススリラー。
かつて不当な理由で投獄されたワヒドは、自分を拷問した看守と思われる男と偶然出会う。咄嗟に強引な手段で男を拘束し、荒野に穴を掘って男を埋めようとするワヒドだったが、男のIDカードを見ると、復讐すべき相手と名前が違っていた。男も人違いだと言う。実は投獄中、目隠しをされていたワヒドは、男の顔を見たことがなかった。男は本当に復讐の相手なのか。確信が持てなくなったワヒドは、ひとまず復讐を中断し、同じ男に拷問された友人を訪ねることにするが…(映画.comより)
あらすじだけだと、結構良く観るようなお話なんだけれど(欧米サスペンス小説だとこの手のお話はよくある気が)、そこに現代のイランという国家が絡んでくると、ここまで苦しくも恐ろしい話になる事がまず驚き(と恐怖)。映画自体はなんだかドタバタコメディチックに進むのですが、そこここに出てくる普通の市井の人々が突然巻き込まれ、拘留され拷問されるという、あまりに理不尽かつ恐ろしい出来事の残滓があまりに辛く、痛々しすぎるのでそのコメディタッチが一切笑えない。また仲間達が声高に報復を叫び実行すようとする一方、あくまで冷静に証拠集めに奔走し、最後まで理性的であろうとする主人公の感情が爆発するクライマックスはあまりに切なく苦しいもので、イランという国家が孕む狂気をストレートに表現していたのが、監督の心の叫びとして非常に胸に迫ってくるものでありました。またその復讐相手が果たして本物か否かがラストまで明かされない構成はエンタメとしてかなり有効に作用していて、そういうところはさすがに上手だなあと感心したりもしました。
ただ、やっぱり全編通しての痛烈な社会批判はかなりストレートなだけに正直暑苦しいところもあり(不謹慎かもしれませんが正直な気持ちです)、ユーモアと怒りが結構分断されていたように感じたのはマイナスポイントでした。
【70】
なんだかんだで前作から10年余りの月日を経ての続編なので、色々雰囲気とか変化があるのかなあと思いきや、いかにもハリウッドなエンタメ映画でなんだかうれしくなってしまいました。
イリュージョンを駆使して犯罪組織の不正な金を奪うスーパーイリュージョニスト集団「フォー・ホースメン」。10年ぶりに姿を現した彼らは、ダイヤモンドビジネスの傍ら武器商人や犯罪者の資金洗浄を行うヴァンダーバーグ社を新たな標的に定め、その一族に伝わる史上最高価値のハートのダイヤを盗むミッションに乗り出す。かつてないスケールの計画に新世代のマジシャンたちも加わり、世界を股にかけた強奪劇が幕を開ける…(映画.comより)
というわけで一応新世代として3人の男女が加わるのですが、こいつらがガキ過ぎてどうにもいけ好かない。それぞれ個性や特技があるのはいいのだけれど、なんというか小物感が半端なくてどうにも地味。オリジンメンバーもそれぞれ年を取っていて、現実世界ではいまいちなキャリアの方々もいらっしゃる事もあり、どうにも華やかさに欠ける印象。それでもジェシー・アイゼンバーグとウッディ・ハレルソンはさすがにオーラがあるし、悪役のロザムント・パイクは流石の貫禄ではあるのだけれど、全体として地味目な印象は拭えませんでした。
まあお話自体はツッコミどころ満載の大ぼらで、それを力技で押し切る感じはなかなか楽しいし、世界を股にかけてロケしてる感じはそれなりに豪勢。全体に漂うバブリーな空気や軽薄さも含め、なんだか久しぶりにハリウッドエンタメを堪能した気持ちで、そういう意味でちょっと懐かしくなりました。
【70】
■「オニオン・フィールド」
1979年製作、実際の警官殺害事件を題材にした小説を原作にした実録ドラマ。
1963年のある夜。無法者のグレッグは交通違反のため警官のイアンとカールに停車を命じられるが、逆に2人を誘拐し、タマネギ畑に連行してイアンを射殺する。逮捕されたグレッグは獄中で司法制度を学び、自らを弁護して死刑を逃れるものの、目の前で同僚を殺されたカールは激しい心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされ、その後の人生を大きく狂わせていく…(映画.comより)
とにかくグレッグを演じたジェームズ・ウッズが強烈。予告で”アメリカの狂犬”と言われておりましたがまさに狂犬。自信過剰のサイコパスで最低のチンピラ。の癖にやたら知能が高くて弁が立つという最低の悪人を、水を得た魚のように嬉々として伸び伸びと演じ切ってしまっているので(というか演技に見えない苦笑)もうリアリティが半端なく、とにかく憎たらしさMAX。悪人がどんどん生き生きとしていくのに対し、誠実な警官がどんどん心を病んでいく様(これはもうジョン・サベージの得意技)は、現代でも十二分に通じる深さ。その対比のドラマを監督は奇を衒わずに物凄く誠実に描いているので、却って凄惨な運命の皮肉さが際立っており、サスペンスというより人間ドラマとして非常に高いレベルにある佳作でした。この映画が公開されてグレッグの裁判結果に大批判が巻き起こったのも納得な、非常に不快な(最上級の誉め言葉)ピカレスク映画です。
【75】
ゲームを未プレイで映画しか観ていないのですが、このお話所謂サイレント・ヒル世界関係無くないすか(というかゲームではこのワールドどういう扱いなんでしょ)。とにかく主人公の恋愛中毒ぶりにイライラしっぱなし。映像的には面白いのですが。
【60】
オトナとしてとにかく好きを詰め込んだその気持ちは温かい目で見てあげたいものです。
【55】
かの怪作「死霊のはらわたラインジング」の監督・脚本リー・クローニンの新作という事で実は密かに期待していた本作。いやー「コンプラって何?美味しいの?」的な鬼畜の所業映画でした。
エジプトに駐在中のジャーナリスト一家の8歳の少女ケイティが、ある日突然姿を消した。家族は懸命に少女の行方を捜すが、非協力的な警察組織や言葉や文化の壁に阻まれ、異国の地での捜索は困難を極める。家族が失意の中で帰国してから8年の時が過ぎ、少女が発見されたとの知らせが入る。娘との再会を喜ぶはずだった家族が目にしたのは、あまりにも変わり果ててしまったケイティの姿だった。彼女の8年ぶりの帰宅をきっかけに、家族の周辺で不穏な出来事が次々と起こり始める(映画.comより)
とにかく8歳のケイティがもう…発見時の描写が口から蜘蛛。変わり果てた姿も含め、そこからもうとにかく子供に何やらしとんねん的な鬼畜描写満載で、ゴアやグロもとにかく徹底した遠慮の無さ。こういう映画の場合、途中ケイティが正気に戻ったり、それを見て家族が号泣したりするお約束があると思うのですが、この映画、そんな一服の清涼剤も無し。とにかくノンストップで化け物ケイティが暴れ回るのがもう楽しくってしょうがなかったです(鬼畜)。
物語もそれなりに一捻り二捻りあり、ホラーエンタメとしても優秀。ちょっとラストがしつこいのと、上映時間が135分は流石に長過ぎるかなあとも思いますが、昨今のシリアスな雰囲気だけで実は甘ーいホラー(死霊やか…)なんかよりはよっぽど覚悟の決まったホラーでした。何よりタイトルの自分の名前リー・クローニン‘sをつけるその心意気。これからも期待です。
【75】
□「トロイのヘレン」
良くも悪くもいかにもお金がかかってそうな古き良きハリウッド映画なので。流石に今観ると色々きついかなあと。この頃の役者さんはみんなムキムキマッチョじゃないのがなんだかある意味新鮮でした。
【60】
設定に無理がありすぎるのが最後まで引っかかってしまい、どうにも乗れず。とりあえず水圧どこ行った?(苦笑)
【60】
「スターウォーズ」の映画作品としては「エピソード9」以来実に7年ぶりという本作。スピンオフとしては「ハン・ソロ」以来という劇場公開なのですが、今回はTVシリーズの劇場版という、SWとしては何気に初めての試みだったりします。
で、とりあえず礼儀としてエピソード1しか観てなかったドラマシリーズを全て予習。いやー面白いという事で期待に胸を膨らませて劇場へ行ったわけですが…
物語の舞台は、「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」後の銀河。帝国崩壊後も新共和国の統治は行き届かず、無法者や帝国軍残党がはびこる混沌とした時代の中、強大なフォースを秘めた孤児グローグーは、その力を狙う者たちに追われる存在となる。彼を守ることを決意した賞金稼ぎディン・ジャリンことマンダロリアンは、危険に満ちた銀河を旅しながら、次第に親子のような絆を育んでいく…
というわけで設定は「子連れ狼」なこの映画、なるほど7年ぶり、久々の新作という事なのか、良くも悪くもサービス精神旺盛、というかそれに特化した映画となっております。
物語はシンプル。帝国の残党狩りに奔走するマンドーとグローグーにもたらされた新たな依頼から、かのハット一族のお家騒動に巻き込まれる様を、アクション満載、萌え満載、漢気満載で徹底的にエンタメ特化。正直映画としての深みや重厚さは皆無だけれど、その開き直りがライト層にはバッチリハマり、そこまでな日本では大ヒットという、ある意味狙い通りな展開になっております。本国でのSW信仰にはその軽さがどうにも噛み合わないので本国ではコケたのですが、この映画の場合そのうるさ方にはアニメの人気キャラや将棋の駒モンスターなんかが大活躍的な細かい隠しネタで補完。、そしてもう少しライトな層にはハット一族がキーに持ってくるという、もうあざといくらいな感じのサービス精神ではあります。
もちろんマンドーとグローグーの親子萌えは健在。特にグローグーの可愛さはもうハンパ無く、時に盗み食いを怒られて拗ね、時には勇敢にフォースで戦い、そして健気にモンドーを助けるその様子はもう萌え萌え。父親モンドーもメロメロ。そりゃ日本人大好きですわ。
ただそのサービス特化の割に全体的にスケールの小ささが気になるのはなんとも。例えば酒場のシーンに宇宙人たちがほとんどいなかったり、SWといえばの空中戦が短かったり(もちろん物語的な必要性を加味した上で)、なんだか低予算的なチープさがそこここに垣間見えるのがちょっと寂しいのと、TVシリーズのキャラが一切登場しないのもなんだか。もちろんライト層に向けてという意味も分かるのだけれど、ドラマでの戦闘狂一族マンダロリアンの狂気が一切描かれなかったのが勿体無いというか悲しいというか(「我らの道」をもっと聞きたかった)。才人ファブローだから出来る判断ではあるけれど、もう少しその辺りを採用していれば多少の深みが出て映画としての品格が出たのかなあとも思いました。
ただまあグローグーが可愛い過ぎるのでどうでもいいっていやあいいのですがね(笑)
【75】
□「アメリカ沈没」
みんな大好きアサイラムにしては結構真面目なお話でちょっとびっくり。
【60】
□「残酷で異常」
なるほど、捻ったミステリーとしては面白いし雰囲気も良し。西澤保彦味がして個人的には嫌いじゃないです。
【65】
■「君のクイズ」
「クイズ番組の優勝者は何故問題を1文字も聞かずに正解出来たのか?」つかみとしてはバッチリなこのお話。日本推理作家協会賞受賞作が原作とあって、なるほど、なかなかに興味深いお話でありました。
映画は、クイズが国民的人気となっている世界の中で、クイズが持つ本来の魅力に加え、競技としてのクイズの攻略法などを説明しつつ、物語はクイズに人生を賭けた二人の男の、クイズ番組の最後の対決で発生した大いなる謎の解明を軸に、番組製作プロデューサーをキーパーソンにしつつ、クイズに魂を引かれた人々の生き様を描いているわけですが、やっぱり何かに取り憑かれ、それしかない人って面白いなあと。それぞれ二人の天才(仰々しい二つ名が最高ですね)のプライドどメンツを賭けた謎解き合戦はなかなか機知に飛んでいて、普通に驚き興奮しました。
(ここからネタバレ)
・
・
・
・
・
・
その肝心のタネですが、実際のところ、ネタはまんま「スラムドッグ・ミリオネア」。クイズに取り憑かれた神木くんの人生がそのまま0文字解答の答えとなるのですが、なるほど、そこに至る過程とそのイヤラシさにちょっとした社会性を醸し出させつつなのは上手なのか下手なのか。まあムロツヨシの演技がまんま答えなのかもですが。結構この解決に賛否両論あるみたいですが、(というか冷静に考えれば番組側が無効にしてしまえばすむ話なんですが、この世界におけるクイズの立ち位置をもう少し明確にしても良かったかなあとは思います)個人的には結構感動。映画としては演出がカッコつけずぎ&今風過ぎてお話にあってない気もしましたが、これはこれで十分楽しめる映画でした。ただやっぱり神木君のキャラ設定(場末のYOU TUBERはちょっと…)と中村君のラストシーンはいただけなかったかなあ…(彼はテレビでクイズ番組に出続けるべきだと思いましたので)
【75】
□「花椒の味」
父の死をきっかけに初めて互いの存在を知った3姉妹の交流と成長を描いた香港発のヒューマンドラマ。
異なった母親の3姉妹がそれぞれ個性的で、しかもかなり魅力的に描かれているので、それだけでもいい映画認定なのですが、ある意味どうしようもない父親(というか現実にいたらかなり面倒な人な気がします笑)について、それぞれの立場で認識が異なっているの事を父親の人間像を描くのに使っているのが上手だなあと。昨今の香港映画あるあるな郷愁と現実とのギャップというか諦めがここでもかなり濃厚に描かれますが、主人公の取る行動がそれを把握の上咀嚼しているのが爽やかな印象な愛すべき小品。アンディさんちょっとスターオーラ出すぎ(苦笑)
【70】
「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のガブリエーレ・マイネッティ監督が、ローマの暗黒街で犯罪組織に立ち向かう中国人女性の復讐劇を描いたイタリア製カンフーアクション。
行方不明になった姉を捜すためローマを訪れた若き中国人女性シャオ・メイは、売春や人身売買が横行する危険地帯となっている移民地区に足を踏み入れる。そこで食堂を営むマルチェッロと出会ったメイは彼の助けを借り、高級中華料理店「紫禁城」を根城にする凶悪な人身売買組織に戦いを挑むが…(映画.comより)
良くも悪くもカンフー映画大好きなんだなという監督の偏愛っぷりはめちゃくちゃ伝わってきます。ただ、正直それだけ。いやカンフーアクション自体は非常に本格的で、撮り方もよく研究してる感があって楽しいのですが、全体的に華が無いというか、映画としての面白さが感じられない印象。主人公は動きは素晴らしいのですがどうにも主役らしいオーラが足りず、お話もよくある感じ(イタリアの軽薄小物悪人ジジイがうざ過ぎるのは良かったですが)。アクション以外のドラマパートの平凡さがどうしても気になってしまいました。
決して悪い映画じゃあないし、監督のやりたい事も分かるのだけれど、あと一歩足りない感じの映画でした。
【65】
■「KEEPER/キーパー」
「ロングレックス」「ザ・モンキー」のオズクット・パーキンス監督作。今回はホラー映画のお約束ジャンルの一つ、人里離れた山荘での怪異モノ。
都会で暮らすアーティストのリズは、恋人のマルコムが所有する山荘に招待される。医師であるマルコムは裕福だがどこか謎めいたところがあり、彼の本当の気持ちを確かめたいリズにとって、交際1周年を記念したこの週末旅行は特別なものになるはずだった。マルコムが運転する車で到着した山荘は、鬱蒼とした森に囲まれた僻地にあった。近くにはマルコムの従弟ダレンが所有するもう1軒の山荘があり、ダレンが若い恋人ミンカを連れて訪ねてくるが、リズは粗野で無遠慮なダレンに嫌悪感を抱く。マルコムに勧められ、管理人からの贈り物だというチョコレートケーキを口にしたリズは、奇妙な悪夢と幻覚に苛まれる。翌日、マルコムが緊急の仕事で病院に呼び出され、リズは山荘にひとり取り残されてしまう。漠然とした不安にとらわれるなか、異常な出来事に次々と見舞われたリズは現実と悪夢の境目を見失い、山荘内にうごめく得体の知れない何かの気配に脅かされていく…(映画.comより)
とにかくこの監督、独特のセンスはあります。なんというか、粘着質というか湿気100%の異常な悪意というか、とにかく息をするのも苦しいくらいの濃密さ。
この映画、とにかくその空気が全編通して強烈で、見ているのがかなりきつい。悪くいえば結構退屈。雰囲気作りは素晴らしいけれど、お話はかなりのんびりペースなので、というかこの監督、物語の語り方が本当に下手くそなので、一般的に映画としての完成度の評価が低いのも納得なのですが、それ以上に異様なセンスが際立っているので、それに波長が合う人にはたまらないという、ある意味カルト監督の条件まんまな監督であります。
今作はコロナの時期に小規模体制で制作されたようで、映画としてもかなりこじんまりで、低予算の定番である山荘モノなのはその企画の規模による選択なのでしょうが、この監督の力量ではなかなか全編通しての完成度は厳しく、かなり自主映画的な粗さも目立つのでですが、そんな全ての退屈を吹き飛ばすクライマックスの異形たちの美しさ。もうそれだけで好き者な自分は全てを許してしまうのでした。まあ多分この映画でやりたかったのはこのクラマックスなので、それはそれで個人的には全然OK。あとは本当経験を積めばリンチになれる可能性まで求めてしまうのは期待しすぎでしょか。
【70】
□「スティール・ワールド」
ジュブナイルSFとしては充分楽しいです。あとはメカデザイン…
【60】
□「パラレル 多次元世界」
悪くはないけれど頭でっかち感がちょっと鼻につきました。
【60】
ここでお得なポッドキャストをご紹介!台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする映画やその他社会のもろもろについて私の友人であるアラフィフ男どもが熱く激しく語りまくるポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく、時に毒々しく、だけど基本は面白おかしく語りつくしておりますので、是非聞いてやってくださいませ。
よろしくお願いします‼