ヤマグチトオルの映画漂流記

とりあえず観た映画の感想(一応頑張って評論にしようとはしています)を書いてます。目標1週間に1本で。基本新作のみで頑張ってみようかと。


テーマ:

2017年7月鑑賞映画ひとことレビュー

 

今年も折り返しの7月。色々あって鑑賞本数は17本と少なめ。しかも劇場で見逃した映画が多数(「ディストピア」「バイバイマン」「パワーレンジャー」…)あって、少し残念な感じですが、とりあえず今回も数少ないながらも劇場鑑賞をメインに。

では。

 

「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」

前作があまりの出来だったので、色々リスタートした第5弾。にして多分ラスト作。前作の反省を踏まえ、ジャック・スパロウを完全な脇役にし、主人公を若い二人にし、物語を1〜3作目の流れにしたのはナイスな判断。もともとジャックは主役というタイプじゃあなく物語を引っ掻き回すジョーカーにしないといけないキャラなので、今回のストーリーは至極真っ当かつ妥当な判断の元作られた続編としてはある意味完全な王道で、そこはさすがのハリウッドだなあとは思うのですが、それにしては全体にあまりに魅力が無さすぎ。新キャラの二人も設定自体はなかなかに面白いのにスター性というか迫力というか覇気というかそういう輝くものがあまりに無さすぎるし、他のキャラにしても何故か全員に元気が無いというか、目が死んでるというか、そういう雰囲気が映画全体に漂っていて全く盛り上がらない。お話自体も王道故の冒険が無いというか破綻が無い分パワーも無く、総じてただただ流れて行くような平板な印象。なのでどうにも盛り上がりのない一言で言えばつまらない映画となってしまいました。これはもう一重に監督の力量不足で、ただストーリーを破綻なく描く事に一杯一杯で、どう伝えれば効果的だとかそういう所(いやそれが演出なんですが)まで手が回らなかったのが明白。まあ現場が相当混乱してたってのは同情しますが、それでもこういう大作を切り盛りするにはあまりに経験不足&力量不足だったのではと思います。その証拠がジャック・スパロウに全く魅力がない事。やる気のないジョニデをそのまま好き勝手やらせてるからどこを取っても間違いだらけ(というかジョニデのやる気の無さがそのまま画面に出てきてる時点で映画としては失敗かと)。もはや飽きとマンネリの境地に達してしまったシリーズを象徴してしまった残念な映画となってしまいました(というか1作目以外はそれほどできのいい映画でもなかったんですがね)。本国でもコケたらしいし、ブラッカイマーもやる気ないみたいだし、これでシリーズ打ち止めになるでしょう。まあそんな残念でもないですが。

★★

 

 

「ジョン・ウィック・チャプター2」

小粒だけどピリッと辛いジョン・ウィック待望の続編。前作のヒットを受けて予算も増え、やりたい放題やりきった感がちょっと気持ちいいバカな映画愛に溢れた愛すべきバカ映画でした。前作から内容はググッとバカ路線へ。殺し屋コミュニティからの脱出劇という、いろんなアクションシークエンスをやりたいがためのストーリーはいっそ清々しいほど中身なし。だからこそアクションが最重要になるのだけれど、そこはスタント出身監督。あの手この手で新しいアクションを見せてくれます。それに応えるキアヌも前作のぬぼっとしつつもキレ味あるアクションからパワーアップ。今回は柔術も含めた格闘アクションも充実。ノンストップの殺し合いを堪能できます。ここまで雑魚がバッタバッタと殺されまくる映画も久しぶりで、昨今のご時世的に大丈夫なのかしらとちょっと心配になったのは自分が年をとったせいなのかなあ少しと遠い目をしてしまいましたが、そんな事よりもスカッと爽やか爽快殺し合いをここまで堪能できたのは本当に久しぶりでそういう意味でも懐かしくも楽しい映画ではありました。とは言えどんな美味しいものでもそればっかりじゃあ飽きるってなもんで、ここまでひたすらアクションばかりだと、どうしてもだれてしまうのも事実。そこはもう少し大人になっても良かったのではとは感じました。正直長いし。100分ぐらいにギュギュッと凝縮して、アクションを二つ三つ削ってドラマ(稚拙でも何でもいいんです、ジョン・ウィックと誰かの絡みをもう少し見たかった)を入れたら傑作になったのになあとは思いますが、それは野暮ってものかも。兎にも角にもやりたい放題、好き勝手やった作り手たちの喜びが充満した愛すべき映画です。

★★★

 

「ライフ」

エイリアン的なSFホラーっていうかそのまんまなんですが、出ているキャストが結構A級。というか彼らがどうしてこの映画に出たのかは正直意味不明ではありますが、まあそれはそれ。予告編を見る限りかなりの本格的な感じもしてたので、久方ぶりの本格SFホラーが観られるかと結構期待してた本作。確かに本格的ではありました。違う意味で。そもそもこの映画、ちょっと未来のISSが舞台なだけあって宇宙空間での描写をかなりリアルに描いてます。言うなれば「ゼロ・グラビティ」+「エイリアン」。まあそれがコンセプトなんでしょうが、いかんせんそれが裏目。リアルな分だけ動きに制限があってスピード感がゼロ。全体にすごくリズムが悪く、それにつられてか物語もスローモー。どうにもサスペンス感が緩い、言ってしまえば退屈な映画となってしまいました。加えてリアルという制約を儲けたために全体が妙に地味に。派手な場面を作れず、全体にこじんまりとした映画となってしまいました。アンサンブルキャストの妙はそれなりに生きてるものの、シナリオもリアルの制約のせいかどうにも中途半端。モンスター映画に振り切ってしまえばそれなりに面白い題材だっただけに、製作者達の妙な中二思考が仇になった勿体無い映画でした。しかし今回だけじゃあなくハリウッド製のこの手の映画のモンスターデザインってどうしてこうもありきたりなんでしょうか。もっと冒険したものが観てみたいです(そういう意味で「メッセージ」は頑張ってました)。

★★

 

「メアリと魔女の花」

宮崎駿の偉大さを痛感した反面教師的な駄作…は言い過ぎだけど、センスの有無がいかに大事かを再認識した映画でした。とにもかくにも全てにおいてどこかで観たようなシーンばかり。加えてストーリーもどこかで読んだ、観たようなものばかり。そもそもなぜこれを映画化しようと思ったのか、これが映画に値するような物語だったのか、そこから大いに疑問。だってほんと取り立てて面白い、光るものがある、新しい、とは全く思えない物語で、それをそのままストレートに映画化するそのセンスの無さにまず唖然。しかもその演出もありきたりというかどこかで観たようなイメージばかり(というかジブリ映画で観たものばかりって事っすね)。いや別にこの監督がジブリの後継者を自認してそれを突き詰めるのはいいのだけれど、なぜに宮崎・高畑映画が評価が高いのか(突き詰めれば両巨人の映画には冒険心があったのだと思う。守りに入らない攻撃的な映画作り。それが驚きと興奮を生むのだ。例えそれが失敗だったとしても)、それをほんともう一度考えて欲しいし、表面だけを擬えたところで、どうしようもない事を今一度真剣に考えて欲しいと思います。昨今のディズニー製CGアニメばかりのハリウッドとオタク向けの内輪的なアニメばかりじゃあほんとアニメ界は廃れる一方だと思うので、こういうオリジナルなアニメにはほんと頑張って欲しいと思うのだけれど、その期待の星がただジブリの表面だけを真似た守りに入りまくりの映画だったりすると本当に悲しいし怖くなる。なぜ去年「この世界の片隅に」があれほどまでに評価され、ヒットしたのか(「君の名は。」はある意味でジャパニメーションの限界を感じた映画でした)、この監督はそこのところをもう一度徹底的に考え分析してこんなジブリの消しゴムカスみたいなものじゃあなく、自分の個性を発見して欲しいものだと思います(とはいえこのジブリモノマネが個性と言われてしまえばもう何にも言い洋画ないんですがね笑)。

★★

 

「ウィッチ」

昨年からある方面でやたら評価の高かったゴシックホラー。

1630年のアメリカ・ニューイングランド。信仰心のあついキリスト教徒の一家が村外れの森の近くに移り住んでくる。ある日、生後間もない赤ん坊が突如姿を消す。一家に不穏な空気が流れる中、父ウィリアム(ラルフ・アイネソン)は、まな娘のトマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が魔女ではないかと疑い…(yahoo映画より)

荒々しく寒々とした原野、鬱蒼として不気味な森…舞台設定は完璧。ひたすら暗く、色合いの薄い世界で描かれる狂信的な家族に起こる悲劇の連鎖…まあここまでストレートなゴシックホラーはほんと久しぶり。舞台設定などは全く異なるけれど、「赤い影」とか「白い家の少女」とかの雰囲気が一番近いか。徹底して作り出された厳粛かつ不気味かつ美しい画面は物語の持つ濃密な妖しさを一層引き立て、映画全体として一貫した雰囲気を出すことに成功。また言語や風習に到るまで徹底して時代を再現したことにより、その時代の持つリアルとファンタジーの境界の近さを表現することにも成功。そういう所にも監督のセンスの良さが光ります。またストーリー自体もかなりの怪しさで、狂信的な故に徐々に壊れていく大人たちを筆頭に、主人公以外の人物たちの壊れっぷりが半端なく、特に妹、弟の幼さゆえの残酷さが秀逸。姉を魔女と信じて疑わず、無邪気に陥れようとするその様が個人的には一番の恐怖でありました。基本的には一人の少女の受難を描いた正統派なホラーなので、凝った捻りやどんでん返しもない、オーソドックスなストーリーなのだけれど、そんなシンプルなものでも細部のこだわりや演出でここまで面白くなるという見本のような佳作です。後、主人公を演じたアニヤ・テイラー=ジョイ。「スプリット」でもいい味出してたゴス系美少女ですが、ここでもその危うい魅力全開(というかこれでブレイクしたんですね)。か細く繊細ながらも妖しい色気全開の彼女、演技力はもとより日本人受けしそうな美少女なのでこれからますます人気が出そうです。

★★★★

 

「怪盗グルーのミニオン大脱走」

いやーミニオンかわいいっす。というかもうそれだけであとはどうでもいいんですが、そういうわけにもいかないのでいちおうひょうかしようとはおもいますが、いろいろかんがえてみてもやっぱりミニオンかわいいでおわってしまいます。だってグルーとかそのむすめたちとか、グルーのかのじょとか、しょうじきどうでもいいんですよ。というかかれらぜんぜんみりょくてきじゃあないんですもの。どちらかというとムカつくかんじ。まえからおもってたんですが、このアニメかいしゃキャラつくりがすごくヘタ。でてくるキャラがみんなきほんてきにじぶんかってでイライラするっていうのはもはやねらいとしかおもえないくらい。こんかいもほんとイライラしっぱなし。こんかいのミニオンはかんぜんにそえものなのでえいががふたつあるようなかんじなんですが、ミニオンがでてこないパートはほんとたいくつ。いっこうにもりあがらないものがたり、じぶんかってすぎてイライラするだけのキャラ、わざとらしくてはずしまくりのギャグ…もうミニオンだけでいいです。でも「ミニオンズ」もひどいできだったから、もうちょうへんなんかつくらないでミニオンのたんぺんしゅうをつくればいいのになあ、というかグルーとかもうしょうじきどうでもいい。というかグルーもうみたくないです。さよなら。というわけでミニオンがでてくるところだけチャプターでみられるようになるであろうブルーレイまでまったほうがせいしんえいせいじょういいとおもいます。

★★

 

「ザ・マミー 呪われた砂漠の女王」

モダンモンスター総登場シリーズ”ダークユニバース”の開幕を告げる、まさかのトムクル主演ミイラ映画。ミイラはともかくなぜにトムクル?と不思議に思ってたのですが、観て納得。これ、ヒーロー誕生もの、「ミイラビギンズ」なんですね。なので「ハンナプトラ」とか期待してしまうと肩透かし必死。というかもはやミイラ自体の設定が揺らぎまくりで、ゾンビやら超能力やらいいとこ取りしまくりの節操のないモンスターに豹変。というわけでその何でもあり感を楽しめるか否かがこの映画の鍵。個人的には途中まさかの「スペースヴァンパイヤ」リメイクかと俄然盛り上がったりしたものの、全体としては詰め込みすぎで下手くそな映画という印象でした。ミイラ再生のリメイクだからそれが根本なのはもちろんで、それだけでもきちんとやれば相当なボリュームだと思うのですが、シリーズ第一弾という事でいろいろやらなきゃいけない事もあるし、せっかくのトムクル主演だからアクションもやっぱりやりたいし、やっぱり恋愛要素も不可欠だし、ミイラをセクシー女性にしたんだからそこもやっぱり強調しておきたいし、ホラーなんだからゾンビとかも出したいし、ミイラなんだから砂嵐もやりたいし、大好きな「狼男アメリカン」のキッチュな笑いもやりたいし…てな感じでやりたい事、やらなきゃいけない事のごった煮状態で観てる方がついていけない状態。やり手の監督ならそれもきちんと交通整理するんでしょうが、シナリオライターとはいえやはり新人監督、どうにもこうにもしっちゃかめちゃかでどれもが印象に残らないという最悪の結果になってしまいました(あとヒロインがあまりに昔ながらのヒロインでそれにもちょっとイライラ)。まあ着地点はそれなりに収まったし、これから先の展開も結構面白そうではあるので、今回だけで終わって欲しくはないですが、何にせよもう一度きっちり状況把握、整理整頓して欲しいとは思います。

★★★

 

ここでお得な映画番組情報‼︎台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする毎回1本の映画について僕の友人である40代男達が語るポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく時に毒々しくだけど基本は面白おかしく語っておりますので、是非聞いてやってくださいませ。

よろしくお願いします‼︎

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

2017年6月鑑賞映画ひとことレビュー

 

6月の初見本数は22本。とはいえ過去に見過ごしたものばかり再発見している昨今です。いやしかし映画の世界、奥が深すぎ。

では。今回も劇場鑑賞したものを。

 

「ローガン」

XーMEN史上最大のスター・ウルヴァリンの最後を描くヒュー・ジャックマン渾身の力作。しかしまあ15年以上も同じ役を演じ続けてしかもシリーズ皆勤賞ってのはほんとたいしたもんだと思います。心の底からお疲れ様でしたと言ってあげたいと同時に酔うやう解放されてよかったですねえとも言いたい気持ちです。まあ本人がどう思ってるかはさておき、これでとりあえずステロイド地獄からは解放されるんではないかと安心しました(いやほんとのところは知りませんが笑)。それはさておき、ウルヴァリン。XーMENはもとよりマーベルユニバースの中でも屈指の大スター。映画じゃあ版権の関係で共闘はないけれど、コミックの中じゃあアベンジャーズの中心だし、そのキャラ設定で過去から未来からユニバースを縦横無尽に立ち回る、いわばマーベルの千両役者。MCUがここまで世界的に人気がある中、その中心人物の最後を描いていいものなのかどうか、というか終わりにしてしまっていいものかどうか、正直かなりリスキーな企画じゃあないかと危惧しておりました。というのもこれ結局ヒュー・ジャックマンのウルヴァリン引退の餞け的な立ち位置の企画で、それ以上でもそれ以下でもないような感じがしたからなんですが。と言うわけで。失われゆく世代から新世代への気高き精神の継承と成長、これはもう古き良きアメリカ西部劇の定番中の定番のテーマであって、そのテーマをこのラスト作で選んだ事自体はなんら問題がないというか、ある意味当然の流れと言うべきか。まあラストとしてはそう言う流れが至極真っ当ではあるし、それ自体は何ら問題はないと思いますが。もちろんヒュー・ジャックマンは力演だし、相棒のプロフェッサーXの役立たず&やさぐれ感はやりすぎかなとも思うけれど、まあ許容範囲(とはいえ彼の最期もこんな形でいいのかと言う気もめちゃくちゃしましたが)。ヒロインの特殊性のキャラ立ちは半端なくかっこいいし、この3人の心通わせるロードムービー感は70年代の香りもして好感度高し。全体に漂う悲壮感と緊張感と血糊の量はそのままヒューのこの映画にかける思いというか覚悟を感じさせてかなり心揺さぶられるし、決して悪い映画じゃあないのだけれど…言ってしまえばこの映画まんま「シェーン」なんだけれど、しかし、そのテーマをまさかその参考にした映画のシーンでまんま語らせるなんて事が許されるのでしょうか。と言うかそんな安直な引用はもはやコピペレベルなど思うので、けっして許されることではないと思うのですが。それが妙に引っかかった、そして2大キャラのラストというにはあまりにあっけない幕切れにちょっと拍子抜けした妙な映画でありました。

★★

 

「パトリオット・デイ」

2013年のボストンマラソン爆破テロを題材にした実録もの。とうかピーター・バーグ&マーク・ウォルバーグコンビの実話もの第三弾にして最高傑作。2013年4月15日。アメリカ独立戦争開戦を記念して毎年開催されるボストンマラソンで、ギャラリーの歓声を受けながら多くのランナーが疾走していた。そしてすさまじい爆発音がとどろき、煙が吹き上がる。街がパニックに包まれる中、FBIは爆発をテロと断定。ボストン警察のトミー(マーク・ウォールバーグ)は、捜査の指揮を執る捜査官リック(ケヴィン・ベーコン)らFBIとぶつかり合いながらも共に犯人を追う。やがて、黒い帽子の男と白い帽子の男の存在が捜査線上に浮かび……(yahoo映画より)しかしまあわずか4年前、しかも死者も出ている事件をエンタテインメントとして映画にしてしまうアメリカの懐の深さというか商魂のたくましさというか、ある意味呆れるところもあるけれど、何にせよアメリカにおける映画の立ち位置の高さがわかります。で、作品自体。いやー力作です。ほんとボストンマラソン爆破テロ事件をまんま再現したその再現性の凄さ。もちろん当時のニュース映像とか利用して臨場感やリアリティを高めてるのはあるけれど、フェイク場面のその作り込みたるや、偏執狂の粋。ピーター・バーグの手持ちカメラ多様でのドキュメンタリータッチ演出も最高潮。なまじっか最近の事件で記憶も確かなだけに、余計そのリアリティに拍車がかかって恐ろしいほど。いやほんとその臨場感と緊張感、サスペンスの度合いは前2作に比べ格段に進化しています。しかもこの映画のすごいところは主人公だけが架空の人物という事。主人公を架空の人物に設定した事により、映画をフィクションのサスペンスエンタメとして製作できる事ができ、それがそのままノンフィクションの硬派だけれど敷居の高いという欠点を補完。高い娯楽性を生み出せたのはこれはもう製作者とシナリオライターの功績でしょう(というかそれを可能にさせたアメリカ映画の立ち位置の功績とも言えますが)。まあ主人公がフィクションなだけに唯一作り込みが見えてしまっているのも事実だし、実話というにはあまりに派手なアクションシーンにも少し違和感が当たりもしますが、それでもここまで真面目に真剣に事件の再現とその精神を描こうとしたそのスタッフ・キャストの熱意がストレートに伝わってくるのはやはり心地よい高揚感と感動の涙をもたらしてくれます。そういう意味でもほんと、力作という言葉がしっくりくる映画だと思います。ただ。やはりここまでアメリカ万歳をストレートにされてしまうとどうしても違和感を持ってしまうのも事実。もちろん無差別大量殺人を引き起こすテロに対して悪以外の感情は持たないけれど、それでもこの映画におけるアメリカの被害者意識はどうにも鼻についてしまうのも事実。多少の目配せはあるし、この映画のテーマ自体がテロ云々よりも困難に立ち向かった人々の勇気を讃える事だということはわかってはいるけれど、それでもやはりラスト、当事者たちが大挙して登場、アメリカ万歳的なインタビューを見てしまうとどうしても捻れた気持ちを持ってしまうのも事実な訳で(ボストンスタンド(でしたっけ)って言われてもこの状況を作り出したのもボストン(というかアメリカ)でっせとという自省はないのかしらと感じてしまう自分は捻くれ者何でしょうが)、そういう意味でも昨今のこの手の映画の難しさを感じてしまったりしました。ところで「ハドソン川の奇跡」といい、この映画といい、ラストのご本人登場は個人的にほんと萎えます。何というか、ご本人登場で安手の再現ドラマ的な安っぽさに映画が貶められると思うのですが。それは個人的な趣味の問題なんですかねえ…。

★★★

 

「ブラッド・ファーザー」

ここにきてのメルギブ復活はほんと嬉しいもので。監督作「ハクソー・リッジ」がアカデミーにノミネートされたのが免罪符的になってるのは少々気に入らないけれど(オスカー何様?って感じが強くって)、まあそれでもこの稀有な才能を持つ俳優さんが活躍の場を再び得る事ができて、新作がどんどん観られるようになるのはほんとワクワク。ほんと、ここでまた調子に乗って余計なことをしないのを祈るばかりです。そんな復活劇がなければ決して日本で観ることなんてできなかったであろうこの映画。まあ期待通りのメルギブアイドル映画でありました。ムショ帰りのおっさんアウトローが生き別れた娘の為に命の限り戦う…っていう設定だけでもまあ山のように過去作はありますし、この映画が特別個性を持ってる訳でもなく、正直映画としては凡百もいいとこの出来。それでもこれはアイドル映画。メルギブがカッコよければ何だっていいのです。そういう意味ではこのメルギブはサイコー。マックスばりのアウトロー感にリッグス並みの狂気。狂った感バシバシのアクションは相変わらずキレキレ。そういう意味ではもう内容なんかどうでもよくて、年齢というか人生の重ねた、酸いも甘いも嚙み分けた人間メルギブをお腹いっぱい堪能できるだけで大満足。というかメルギブに興味がない方には全くもって時間の無駄という非常にわかりやすい映画となっております。そういう意味で非常にわかりやすい映画ですので、メルギブ好き以外には一切おすすめできませんが(いや別段そこまでひどいというわけでもなく、アクション映画としては普通に及第点の出来だとは思いますが)マックスやリグスを少しでも愛した事がある方には必見のファンムービーです。

★★

 

「キング・アーサー」

多分イギリスの歴史上の人物(?)で一番メジャーであろうアーサー王のエピソードゼロというかアーサー王ビギンズ。それをいくらイギリス人とはいえ庶民派(いろんな意味でです)のガイ・リッチーが映画化となると、妙に安っぽいというか、落ち着きのないチンピラ風映画になるんだろうなあと思っていたら、まさにその通りでした(笑)。とはいえ、決してそれがつまらないというわけではなく、それなりに楽しめるアクション・ファンタジーとしてまとまってたのはさすがの腕前。風格はゼロだけれど2010年代の新たなアーサー王伝説としては間違ってない映画だとは思います。とはいえ、やはりこういう映画にはそれなりの風格というか、重厚さが欲しいもの。主人公はもとより、悪漢ジュード・ロウはどうしても小物っぽいし(これはもう個性の問題なのでしょうがない)、ちゃかちゃかした絵作りとCG満載のド派手なモブ戦闘シーンはどうにも相性が悪くバランスがハチャメチャ。”スナッチ中世イギリス版”としか見えないその映画作りが果たしてこの映画に合ってたのか否かは個人的な趣味にもよるかとは思うけれど、全体のバランスの悪さというか映画全体のイメージの不統一感を見ればそれが失敗だったのは明らかかと思うのですが。逆にもっと振り切ってしまえば(それこそスナッチみたく)カルト的な雰囲気も出てきたのではと思い、そういう意味でもちょっと迎合しちゃったかなリッチーという感じは残念でした(「シャーロック・ホームズ」並みにバカやってしまえば良かったのにと。とはいえあればロバート・ダウニーJr.のおかげもあるのかも)。これ5部作予定かなんかでまさにエピソードゼロだったはずなんですが、本国のコケっぷりを観るともはやシリーズ化は無さそう…まあそれでもそれほど残念に思えないくらいの出来って事で。

★★

 

「ハクソー・リッジ」

メルギブ名誉回復起死回生の一本となった戦争感動巨編。というのが世間的なこの映画の立ち位置でしょうが、「ブレイブハート」以来、容赦無い人体破壊描写と目に見える肉体の動きのみで映画を動かすという活劇の真髄を見せてくれている天才監督メル・ギブソン最新作という事で、個人的には今年最大の期待作の一本だったこの映画。いやー力作でした。いろんな意味で。第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され…(Yahoo映画より)メルギブが敬虔なクリスチャンなのは周知の通り(で、「パッション」をああいう感じに作っちゃうあたりが相当捻れてると思うんですが笑)。なので、主人公にメルギブが感情移入しまくっているのは一目瞭然なんだけれど、だからと言ってそれに共感できるかというのはまた別問題。やはり武器を持たずに戦場に行くというその矛盾にどうしても納得できない自分がいました。まあ普通ならそういう観客の事も踏まえ、いかにそれを観客に納得させるかが映画のキモだと思うのですが、狂信的クリスチャンにはそんな事は当たり前の感情らしくそこのところは結構強引。もちろんその手のシーンは前半でしっかり描かれてはいるのですが、やはりどうしても納得できなかったのはもはや生き様というか文化の違いというレベルなのかもしれません。だって人の命を奪ってはいけませんという教えと軍隊に入り戦争に行くという二律背反はどう考えても融合出来るのものではないし、たとえ日本兵の命を救っているとは言っても、そもその横で仲間が命を奪う行為を行なっているのだから、それをまず糾弾するのが筋ってものではという至極当たり前の思考に彼がどうして行き着かないのか、それがものすごく気になったし、いやもちろんそんな事は分かっているだろうに、それを観客に納得出来るように描けない(描ききれない・描かない)のはやはり監督として、人間としての葛藤をそのまま放置してしまったメルギブの迷いそのままなのかなあと感じてしまいます。人体破壊描写&アクションてんこ盛りの戦闘シーン(映画史上最強・最狂・最恐の戦闘シーンだと思います)と、それ以外のデズモントの聖人的なドラマとのギャップ、それがそのまま監督の迷いに見えてしまい、またそれが冷静に映画としてみた場合奇妙なアンバランスさと違和感に通じてしまっているのがどうにも居心地が悪いというか、座りの悪い映画となってしまっている原因だと思います。彼の行為が果して英雄と称されるような行動なのか、それすらも疑問に思えてしまうのは彼が偽善者に見えてしまう瞬間がそこここにあるから。アンドリュー・ガーフィールド(しかし狂信者、似合いますねえ…)の狂信者の眼に恐怖を感じてしまう瞬間。果してそれが意図的な演出なのか、それともそれが当たり前の感情の演技なのか、そういうところを突き詰めて行くと安易に感動ものとして片付けれられない超問題作だと思いますが、果してその見方すら正解かどうかというか、そんな事を気にせず単純な英雄ものとして観ればいいのか、いろんな意味で力作であり問題作だと思います。

(そしてここでもご本人登場。正直ここでかなり冷めてしまいました。映画は映画で完結してほしいです泣)

★★★

 

ここでお得な映画番組情報‼︎台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする毎回1本の映画について僕の友人である40代男達が語るポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく時に毒々しくだけど基本は面白おかしく語っておりますので、是非聞いてやってくださいませ。

よろしくお願いします‼︎

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

2017年5月鑑賞映画ひとことレビュー

 

5月の初見本数は18本。最近はこのくらいが限界かなと。

とりあえず劇場鑑賞したものを中心に。

ではでは。

 

「無限の住人」

最近色々ありすぎてちょっとかわいそうな気もするキムタク主演作。劇場で大コケしたとかなんとかやたらマイナスの事ばかり話題になり、タイミングも含め色んな面でちょっとかわいそうこの映画、それでも冷静になって観てみると、そこまで酷評されるほど悪い映画じゃあないと思うのですが。もはや駄作の代名詞となてしまってる感のある三池氏。やる気スイッチのON/OFFがはっきりしすぎでしかも最近どうにもOFFばっかりの三池氏の中で、これは久々のスイッチON作品。とはいえやはり演出力の劣化は紛れもない事実で、全体の間延び感というかテンポの悪さと、タイミングの悪い変な外し感は如何ともし難く、悪い意味での開き直り感は相変わらず映画全体の緊張感を無くしてしまい、そういう意味でも三池宇治の凋落ぶりは出てしまっているけれど、それでもこの映画の場合、そんなマイナス要素を超える三池氏の思いが見えます。それが”木村拓哉”。とにかくキムタクを男にしようっていうか、キムタクの新たな挑戦にとことんまで付き合ってやろうっていうある種の漢気的な思いと、自分ならそれが出来るっていう自信。それがこの映画にはみえます。だから今までの”キムタク”っていうブランド目線ではこの映画が売れないのは当たり前で、あえてそこを全て外しての映画なのだからそこを鬼の首取ったように否定しているおばかな評論家諸氏にはほんと呆れ返るばかりで。まあそれは置いておいて、とにかくこの映画、いかにキムタクが”キムタク”らしくないかが勝負なので、その点でいえば成功作だと思うし、その監督の期待に応えたキムタクの熱演も称賛に値する熱さだったと素直に思います。いやまあシナリオのあまりの出来の悪さ(不死身の設定を途中でチャラにしたり、万次の戦う理由付を安直にしたりなど、構成から何から全て間違ってると思います)に引っ張られ、映画自体の出来としては微妙どころか失敗作だなあとは思いますが、この企画の中であえてグロ描写満載にした勇気と、キムタクの新たな魅力は引き出したという点においては、決して駄作というほど悪い映画ではないと思います。まあ若い女性には絶対受けないでしょうが(笑)

★★★

 

「フリー・ファイヤー」

予告編で何気に期待してた本作。巻頭の監督のメッセージからこれはかなりバカでおかしなアクション映画が観れると期待していたのですが、どうにもこうにも微妙な出来の映画でした。要は一癖二癖ある悪党たちの騙し合いという、タランティーノ以降のあの流れ系のワンシチュエーションものなんですが、その中でこの映画のウリは「人間撃たれても実はなかなか死なない」という事をとりいれたド派手かつ心理的な銃撃戦。確かに上映時間90分弱、ひたすら撃ち合ってます。しかもみんな撃たれて。だからまあ動きがないというか、強弱がないもんだから正直飽きます。いやもっと上手くやれば相当面白くなりそうな題材なんですが、どうもキャラの立ち方が甘いのか、誰にも感情移入出来ないし、誰も彼もが魅力的じゃあないもんで、誰がどうなろうがどうでも良いという、この手の映画じゃあ一番ダメな事になってます。それはもうシナリオと演出力の問題であっていかに曲者揃いの役者たちを揃えたところでづにもなるもんでもなく、逆に好き勝手に演ってる分収集がつかなくなってる感もあったりします。だから正直何をやってるのかが途中からさっぱりわからなくなってしまいました。もしかしたらDVDとかで見直せばそれなりにわかりやすかったりするのかもですが、やっぱりキャラにもう少し魅力がないとこの手の映画はきついなあという悪い見本です。

★★

 

「スプリット」

いやー「アフターアース」を観た後、ついにキャリアの終焉を確信し、個人的に涙したシャマランがまさかここまで復活するとは…前作「ヴィジット」はまリハビリ的でもので、まだ完全復活というには気が早いなあと思ったりしてたのですが。そんな中でのこの「スプリット」。まさにシャマランにしか撮れない、というか撮らないという、良くも悪くもシャマラン完全復活を印象付ける快作(怪作)でした。基本的には昨今流行りの監禁もの。変態に誘拐された女子高生3人の恐怖を描くっていうのがまあこの手の映画の基本路線で、最近の流れじゃあいかに残酷かつリアルな拷問と手の込んだシチュエーションを考えつくかに勝負をかけたりするのがお約束なんですが、そこはシャマラン、そのあたりに関してはあんまり興味がないらしく、その手の流行りは結構おざなり。それよりも24重人格(とは言っても実質5人くらいしか出ませんが笑)の変態さん(マガヴォイさすがの好演)を仮面ライダー的な意味での怪人に設定。その誕生を詳細に描くことで、まさかの怪人誕生もの、エピソードゼロにしてしまうという暴挙を敢行するという、世にも稀な映画になりました。なので、一般的な「ソウ」以降のああいう映画を期待すると完全に裏切られます。また女子高生の一人を性格の捻れた薄幸の少女に設定することにより童話的な雰囲気も加味。シャマラン的な世界観を作り出します。そういう意味でも原点回帰、ほんとやりたい事を好きなように撮った感満載で、そういう意味でもほんと完全復活。よかったねーと親心的な感慨にむせてしまいました。

そして何よりもラスト!まさかの彼登場!いやごめんなさい、ここが一番興奮しました。だって世間的には評価もそれ程高くない、でも個人的にはシャマラン最高傑作と思っているあの映画とまさかの同ユニバースとは!最初からのプランなのかはたまた悪ノリなのかは正直微妙ですが、絶対に死なない男VS24重人格の変態怪人VSガラスの悪党という、みつどもえの戦いが次回観られる事を本当に楽しみに待ちたいと思います。

★★★★

 

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」

つうか何でvol.2じゃあダメなんすかと声を大にして言いたいマーベル映画史上最高傑作の待望の続編。今回もやってくれました。ノリノリのオープニングが煽りまくった期待感は最後まで裏切られる事なく、圧倒的なノリとスピード感でラストまで一気に突っ走ります。しかも今回はまさかの感動巨編。前作が登場編なら今回は成長編。スターロードを含めたGOGたちそれぞれの成長と、「仲間」から「ファミリー」へと関係を深めていく様を軽いノリの中で何気に丁寧かつじっくりと描いたりしています(とにかくシナリオが上手すぎ。ここまで徹底してシンプルなのに嫌味が無いのは一重にシナリオの上手さとそれを演出する時に迷いが無いからでしょう。キャラたちの扱い全てに愛情があって役者もみんな愛情持ってキャラを演じてるのがわかるが本当に素晴らしいです)ガンのルーザーに対する底知れぬ愛はここでも健在で、権力者=クズ(とはいえそれを愛するカート・ラッセル様に演らせてしまうのはちょっと悲しかったりしますが)、ルーザー=愛すべき負け犬という図式は徹底してて、それをこんな超大作でやってしまうのが(というかマイケル・ルーカー…ほんとよかったですね…なんか散々苦労してきた事を知っているロートルの一軍半の選手がサヨナラ満塁ホームランを打った時のような底知れぬ感動を味わえました)すごいというか懐が深いというかマーベルの底力を感じたりもします。ベイビー・グルートはもう可愛すぎるし、アクションシーンはド派手でおしゃれ。それぞれのキャラも掘り下げられ、愛され度もMAX。前作の成功を受けて自信を深めたガンのやりたい放題度がいい方に転がった奇跡のような傑作です…と諸手をあげて褒めちぎりたいとこなんですが、ちょっとだけ。いやこれしょうが無いとはいえ、どうにもセリフに頼りすぎな感が。特にロケットに関するくだり。CGアライグマという制約があるにせよ、心情を全て言葉にしてしまうのはいかがなものかと。まあキャラがキャラだから技術的な面で信用出来ないという部分も大きいのだろうけれど、そこはもう少し観客を信じてもよかったのではないかと。まあケチに近いくらいの文句ですが全体にそういう部分が気になったのも事実で、ある意味CGの限界というか、技術の限界と信用を感じた映画でもありました。

★★★★

 

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

イタリア映画で鋼鉄ジーグってわけで結構な話題を呼んだ映画でしたが、正直普通のヒーロー誕生ものでした。いや出来が悪いわけじゃあなくて実際すごく真面目に真剣に丁寧に作られてる良作で、決してつまらないわけじゃあないんですが。どうしようもないクズの男が突然超人的な力を持ってしまい、その力を利用して悪事を働くが、会う女性との出会いをきっかけに正義に目覚める…っていうとい本当よくあるお話、っていうかヒーローものの王道な訳で、それはそれで全然OKなんだけれど、その材料をいかに料理するかが料理人の腕な訳で、今回はそのまま刺身にしてみました的な感じ。でも刺身にしたって切り方や盛り付けで味が違うわけで、そういう意味では正直ただ切って並べた感が強い映画でありました。というわけで色々本当勿体無いというか、もっと色々突っ込めばもっともっと面白くなるのに。そんな事をずっと思いながらの映画鑑賞でありました。

★★

 

「ジェーン・ドウの解剖」

やたら評判が高かったので鑑賞したザ・ホラー映画。とある一家が無残にも殺害された家の地下で身元不明の女性の変死体が見つかり、検死することになったトミー(ブライアン・コックス)と息子オースティン(エミール・ハーシュ)。死因を調べるため解剖を進めるにつれ、驚くべき事実が次々と明らかになる。やがて、親子に不可解な現象が襲い掛かり……(yahoo映画より)。基本的には新耳袋系の都市伝説的な怪談。とにかく前半の解剖シーンのが出色で、死体解剖のウンチクからそこで徐々に明らかになる謎の不可思議さはかなりの凄まじさ。そんな怪異の連べ打ちからくるスリルとサスペンスは相当なもので、正直かなりの恐怖を味あわせてくれます。なんだけど後半は息切れ。怪異の正体が明らかになると(これはかなり面白いというか意外な展開でよかったのですが)、それから逃げるだけの月並みな展開になってしまい、全体が失速。かなり勿体無い映画になってしまいました。

まあ低予算だけれどアイデアでカバーしようという気概はひしひしと伝わってきたし、全体として決して悪い映画では無いのだけれど、だからこそ後半の展開にもう一工夫あれば…と感じてしまいました。とはいえ前半はやはり捨てがたい魅力があるので、観て損はない良作だと思います。

★★★

 

「メッセージ」

個人的生涯ベスト映画「ブレラン」の続編(予告からもう言いたいことは山ほどありますが、それはまた別の機会に…)を任されたドゥニ・ヴィルヌーブ監督のSF初挑戦映画。「2049」が待っているだけに正直これが駄作だったらどうしようという不安と少しの期待を持って観に行ったのですが…結果。「2001年」「未知との遭遇」とまではいかないけれど最近観られなかった真面目で真摯なファーストコンタクトSFの傑作でした。SF小説の傑作としてかなり有名だけれどどう読んでも映画には不向きなこの題材をどう料理するのだろうと思っていたのですが、主人公の女性の女性の目線から描くことに集中することにより物語を一本化。それにより大仰な展開に陥ることなくテーマを深く掘り下げることができ、映画自体に落ち着いた佇まいが生まれました。またそんな物語をリアルにするべく全体のディティールも機能。ヘプタポッド(いうほど個性的とは思いませんが確かにキッズ化が進む現在のハリウッドでは異質)のデザインはもとより、宇宙船やその内部の洞窟のようなセットや設定などその全てが奇をてらうことなく物語にリアリティを持たせる方向性に向かっているのが心地よい。そしてあの文字。これがもうほんと素晴らしく、美しさの中に知性を感じさせるそのデザイン性の高さはもはや発明。正直この文字を思いついたことでこの映画の成功は約束されたも同然でしょう。ここまで知的興奮(SFにおいてこの言葉は最高の褒め言葉の一つだと思います)を味あわせてくれる映画は数少なく、それだけでもこの映画を観る価値はあると断言できます。またそういうSF的側面だけではなく、主人公を女性に設定したことにより人間ドラマとしての深みが増し(男性目線のありきたりな好戦的側面のやりすぎ感はちょっと引きましたが)、特に時間の概念に関する感じ方が女性ならではの側面で考察されている事などはこの映画独自の視点で、それはまさにSF以外ではできない事。そういう意味でもこの映画はSF映画として真面目で真摯な傑作と言えます。ラストの意外な展開も踏まえ、知的興奮と人間ドラマとしての感動に溢れたSF映画の新たな傑作。きっとSF映画の新たなスタンダードとして歴史に残っていくでしょう。SF初挑戦にしてこのような高度な映画をモノにしたヴィルヌーブ、侮れし。とはいえ全体の雰囲気やら、テンポやら音楽の使い方やらが「ブレラン」の影響受けまくりなのがちょっと微笑ましかったりしますが笑

あとこの映画のオチ、まんま「ビルとテッドの大冒険」なんですが、同じネタでここまで違う映画ができるのもなんか面白いもんんです(まあ「ビルとテッド…」はシリーズ二作とも大傑作ですが笑)。

★★★★

 

「夜に生きる」

新生バットマン・ベンアフの久方ぶりの監督作。相性のいいルヘインの原作を元に、禁酒法時代のボストンを生き抜いたギャングの一代記を骨太なタッチで描き出した力作です。なんですが、なんというか力作すぎ。とにかく詰め込みすぎというか、色んな事色んな場所で次から次へとどんどん起こるので、観てるこっちはついていくのに精一杯。映画の構成としてもっと深く掘り下げなきゃいけないような要素までさらっと行っちゃうもんだから、こっちは訳がわからず外から眺めてるような感覚に陥ってしまい正直退屈。ちょっと勿体無い映画です。この手の映画の場合、主人公に感情移入させればその手の問題は解決できると思うのですが、如何せん主人公がミスター無表情ベンアフなので、何を考えてるのか一切わからない死んだ魚の目のようなその冷たさがこっちの感情移入を拒否してしまっています。それは演技の上手い下手とかじゃあなくもはや個性なので(「ザ・コンサルタント」とか「ゴーン・ガール」とかの名演を見ればわかります。「バットマン」はまだ保留)しょうがないのですが、主役をその手の演技が上手い役者(いや弟でもよかったかも)に譲ればもう少しうまく行ったのかもと考えてしまいました。とはいえ力作なのは間違いなく、ディティールや語り口などはさすがの上手さなので決して悪い映画ではないのですが、キャスティングの大事さを改めて感じた勿体無い映画でした。

★★★

 

ここでお得な映画番組情報‼︎台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする毎回1本の映画について僕の友人である40代男達が語るポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく時に毒々しくだけど基本は面白おかしく語っておりますので、是非聞いてやってくださいませ。

よろしくお願いします‼︎

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。