明治神宮の花菖蒲を毎年楽しみにしているのですが、今年はいけませんでした汗
写真は昨年6月23日のもの。この日は蒸し暑くて絽の小紋でも汗ビッショリに…(>_<)
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さて、杜若(燕子花)の開花時期は5月中旬、花菖蒲の開花時期は6月中旬ですが、私の
燕子花や花菖蒲の帯は夏帯です。開花してからその花の意匠を纏うのは野暮だといわれ
ますが、花菖蒲は大好きな花なので、6月中名残惜しみつつ楽しむことにしています。
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※端午の節句や花菖蒲の開花時期になると幾度と無く書いている話ではありますが、おさらい。

文目(あやめ)には、花弁に綾目の黄色と紫色の虎班模様があることから文目になったという説と、
葉が剣型できちっと並んで生えることから文目(筋道の意)になったという説があるようです。
菖蒲、杜若、花菖蒲は湿地に生えますが、文目は乾いた土に生えるのも特徴です。
開花時期は4月下旬から5月。現在の端午の節句にかぶります。
紅型の意匠にはあやめや杜若、花菖蒲の文様がよく見られます。これは袷の小紋。
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杜若もしくは燕子花(カキツバタ)は、昔は杜若の花の汁を布に押し付け染めたので
掻付花(カキツケバナ)と呼び、それが転じて杜若(カキツバタ)となったそうです。 
「かきつはた 衣に摺りつけ 大夫(ますらお)の 着襲(きそ)ひ狩りする 月は来にけり」
という歌が万葉集に残っています。
開花時期は5月中旬頃で花菖蒲よりもひと月くらい早くに見頃を迎えます。
写真は2011年5月10日根津美術館庭園にて。
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燕子花と表記することがあるのは、花の姿が燕が飛んでいるようにみえることから。
小袖の意匠に燕と対でよくつかわれています。
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花菖蒲(アヤメ科)は、本来端午の節句につかわれる、尚武にちなんだ菖蒲(サトイモ科)とは
全く違う植物です。
菖蒲には食欲増進、疲労回復などの薬効成分があり、菖蒲湯は冷え性にも効果的だとか。
この薬効成分が邪気を払うとして古代中国の浴蘭節につかわれたのが、菖蒲湯の始まりです。
花菖蒲には薬効も香りもありません。
ですが、菖蒲の花は余りにも目立たないので、←蒲(ガマ)の花に似ています
菖蒲に草姿の似ていた、湿地に咲くアヤメ科の花を花菖蒲とし、端午の節句の花としたようです。
平安後期から鎌倉期の和歌集には「はなあやめ」という表記があり、(漢字だと「花菖蒲」)、
最古の花伝書といわれる室町時代の仙伝抄にも「五月五日のしんにははなしゃうぶ」とあるので
端午の節句が一般に普及する江戸時代中期(元禄期)以前には混同していたものと思われます。
平安末期の甲冑などにみられる菖蒲革のモチーフは花菖蒲です。

花菖蒲は6月中旬頃が見頃。旧暦では端午の節句の時期です。ちなみに今年は6月24日でした!
写真は2006年6月17日明治神宮菖蒲苑にて。このころ化粧が濃かったのか、顔が怖い…(x_x;)
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江戸時代中期(元禄期)には、堀切に菖蒲園がつくられ改良が進められました。
現在では日本の梅雨の季節を鮮やかに彩る花として、杜若(燕子花)と混同されつつ、きものや帯
の意匠に多く見られます。写真は2010年6月26日堀切菖蒲園にて。
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観世水に花菖蒲と沢瀉の絽の小紋。菖蒲は尚武に通じ沢瀉は面目が立つということから
どちらも武将好みの意匠です。水辺の花は涼感を誘うので開花時期にこだわらず真夏中
着ています。帯違いのコーディネートを参考までに。
帯〆は熨斗と同じように左に濃い色をもってきたほうが良いと思います。
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