5バック相手に6得点の脅威 プレミアリーグ第11節 シティvsボーンマス | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

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技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。

5バック相手に6得点の脅威 プレミアリーグ第11節 シティvsボーンマス



プレミアリーグ第11節、シティvsボーンマスは6-1という壮絶な結果となりました。どんなチームでも、守備的な5バックを敷いた相手を崩すのはそう簡単なことではありませんが、シティにとっては関係なかったようです。ただ5バックにも様々な守り方がありますので、今回はボーンマスがこだわった5バックの守り方について見ていきたいと思います。それでは参りましょう!

目次
・ボーンマス布陣
・ボーンマス5バック
・シティ布陣
・シティ得点①
・シティ得点②
・シティ得点③
・総括


・ボーンマス布陣



ボーンマス布陣です。5-4-1ですが、守備時にはシティの3CB +ロドリに対して3枚で対応します。



中央を2枚で守りますので、実際は5-2-3のような形になります。

・ボーンマス5バック
ボーンマスの5バックは、ただ構えて待つ5バックではありません。数的優位を作ろうと自陣に落ちていったコバチッチ、アルバレスやB.シウバに対してはディフェンスラインからどんどん人が飛び出して、ついていきます。この落ちていった選手に対しては、マークの受け渡し等は行いませんので、ある程度マンツーマンといった形で対応します。






4バックだとこのようにDFがどこまでもついていくという事は難しいです。なぜならついていくことで自陣に広大なスペースを空けてしまうからです。


4バックだと空けるスペースが大きくなる。





5バックだと、たとえ1枚ついていっても4枚いますので、あまりギャップを作らずにすみます。ボーンマスの5バックは、DFラインの選手が積極的にプレッシャーをかけるための5バックと言えます。

上述したように、ボーンマスの5バックはただ構えて待つのではなく、DFラインから人が飛び出してついていき、積極的にボールを奪いにいく5バックです。
相手に起点を作らせない、うまくいけばより高い位置でボールを奪えるというメリットがありますが、自分の守るべきスペースを空けてしまうため、そこを上手く利用されズレが生じると、大きなピンチを招いてしまいます。




・シティ布陣
シティはいつも通りの形です。



フォーデンが控えに回ってコバチッチが入っています。

5バックのDFが、自分の守るべきスペースから出てきてくれることは、ある意味シティにとっては好都合です。なぜなら、シティが最も使いたいポケットを、空けてくれるからです。


ペナルティエリア隅 ポケット






ポケットに相手よりも先に入ることでチャンスを作り出します。







カバーがいなければ積極的に1対1を仕掛けていきます。







逆に相手がポケットを使わせないように横幅感覚を狭くするのであれば、サイドがフリーになり、余裕をもってクロスを上げることが可能です。



このように、相手が自ら出てきてくれるのであれば、しめしめ、とそのスペースを逆手に取ってしまうのがシティの選手たちです。
まさに、相手によってどう戦えば良いか、を一人一人がとてつもなく高いレベルで理解しています。

ポケットに入り込んでから、クロス、あるいはフリーになったサイドからクロスでチャンスを作り出した場合、相手は当然クロスを警戒します。







するとマイナスのパス、横パスが機能してくるわけです。






ミドルシュートで相手に出てこさせる。GK-DFライン間のクロスを警戒させ、マイナスのスペースを空けさせる。ポケットを警戒させることによりサイドのスペースを空けさせる。など、90分を通して見ると、シティが徐々に相手を追い詰めていくのがよく分かります。
たとえシュートが外れて得点には至らなくても、シティの攻撃はまるでボクシングのボディブローのように効いてきて、警戒してガードを下げた一瞬の隙をついて、ボディではなく、顔面に強烈なストレートパンチを喰らうわけです。


・シティ得点①
シティ1点目
ドクがカットインしてロドリとのパス交換からゴール右隅に流し込む。



ハイライトにもありますが、この前にはロドリ、B.シウバの惜しいミドルシュートがあります。ミドルシュートを打つことにより、たとえ入らなくても相手は警戒して出てきます。すると、僅かですがスペースが空き、そのスペースを利用して得点しました。

・シティ得点②
シティ2点目
ドク→ウォーカーから再びドク。ポケットのスペースからのマイナスクロスでB.シウバの得点。



ハーランドとアルバレスがゴール前に入り込んだために、マイナスのスペースが空きました。ポケットのスペースを見逃さない、シティによく見られる攻撃の形です。

・シティ得点③
シティ6点目
ヌネス→ポケットに動き出したボブ。マイナスに動き出すフォーデン、アカンジ
→アケが空き、得点。



マイナスクロスを警戒すると今度はGK-DFライン間のスペースを利用します。

ポケットで、ゴール向きにボールを受けた瞬間、シティはもはや王手というわけなんですね。


・総括

5バック相手に6得点上げるシティの戦いは圧巻です。何よりプレスをかけにいっても簡単にボールを失わない選手の技術の高さにはいつも魅了されます。
しかし、ポケットを利用したい相手に対して自らそのスペースを簡単に空けてしまうのは、このような大量失点を招くこともある、というとても参考になる試合になりました。ジャイアントキリングを起こすためには、相手の意図、良さをしっかり打ち消すことが必要ですね。

今回得たジャイアントキリングへの教訓
・5バックだからといって守れるわけではない。
・相手の意図を消す。(シティの場合、ポケット)