★ついに!ジャイアントキリングの最適解は”これ”だった!? プレミアリーグ第7節 マンチェスター・シティvsウルヴァーハンプトン
ついに、この日がやって参りました。2-1ウルブス勝利!私はアンチ、シティというわけではありませんですし、シティのような攻撃的な魅力あるサッカー、大好きです。
しかし、私は常に能力や資金力で劣るチームがいかに強豪チームを破るかを考えております。
ジャイアントキリングのために必要な要素が詰まったウルブスの戦い方には、かなり痺れました!
ウルブスは今期まだ1勝しかしておらず、これで2勝目。対するシティは6連勝中でしたが、ロドリ、B.シウバ、デ・ブライネ、ストーンズを欠き、コバチッチ、グリーリッシュはケガ明け、そして審判に対する異議申し立てによりグアルディオラ監督までベンチに入れないという状況でした。
とは言っても、ハーランドもフォーデンもルベンディアスもいますから、倒すのは決して容易ではありません。
そのような中でも、最適解はこれなのか!?と思わせるような戦い方をウルブスが見せてくれたので、守備を中心に分析していきたいと思います。
目次
・最適解はこれだった!?5-2-3という守り方
・前線3枚の驚異的な運動量と推進力
・集結 ペナルティエリア内に10人!?
・総括
・最適解はこれだった!?5-2-3という守り
方
ウルブス布陣です。
今まで5-4-1 5-3-2 4-5-1という守り方はありましたが、5-2-3という守り方はウルブスが初めてでした。
シティは攻撃時3-2-5の形をとります。
シティのシステムに対しいくつかの守備におけるルールが見られたので、解説していこうと思います。
①全線3枚でDMF, CB2枚両脇に圧をかける
ネトとファンが3バックの両脇CBにプレッシャーをかけます。クーニャはDMFコバチッチのパスコースを消します。
そうすると中央ディアスがほぼ常にフリーになります。ウルブスはディアスがある程度ボールを持ち、運んでくることは許容したわけです。
メリットとして考えられるのは
・中央CBに高い位置を取らせてカウンターをしやすくする。
・攻撃力が高い他の選手をフリーにしない。
ディアスは攻撃力は他の選手に比べてそこまで高くない、かつ、中央CBなので、ゴール前までボールを持ち運び続けるというのは考えにくく、どこかのタイミングでパスを出してくるのでそこを狙い所にできる。
・コバチッチをフリーにするより、ディアスに持ち運ばせた方がボールを奪いやすい。
です。コバチッチにクーニャがつく分ヌネスがフリーになることが出来るのですが、ウルブスは上手くマークを受け渡しながら守れていました。(上手くいかないこともあってヌネスは前半で交代となりました。)
②両WGにボールが入ったら5-4-1
ドク、ウォーカーにボールが入ったらハーフスペースを埋めるべく両WGのネトとファンが下がってWGに対し、1対2の状況を作ります。
これによりカットインするスペースをなくし、アルバレスやフォーデンがポケットを狙ってきて、DMFが対処しても中央のスペースを空けずにすみます。
このように、前から奪いに行けない場合は、ディフェンスラインをペナルティエリア前ほどに設定し、背後のスペースを消しコンパクトにしながら全員で守ります。
③ハーランドを間に置かない
DMFが中央2枚アルバレスとフォーデンを見た場合、ハーランドのパスコースを空けてしまいます。
そのため何本かハーランドへの縦パスが入りますが、この縦パスに対しては、安易にハーランドをCBの間に置かず、しっかり背中にくっついてマークします。縦パスが入った瞬間にインターセプトを狙えるくらい、かなりアグレッシブに守備にいきます。
5バックのため、CBが一枚釣り出されてもカバーリングができますので、思い切って積極的にインターセプトを狙いに行けるわけです。
また、DMFがすぐにボールを挟みにいきハーランドを自由にさせません。
カバーリングがいるので積極的に奪いにいける。またコンパクトなのでDMFも挟み込みにいける。
もちろんDMFのレミナとゴメスはアルバレスとフォーデンにずっとついているわけではなく、パスの出し手のボールの持ち方や、プレッシャーのかかり具合によって守備の立ち位置を変えます。画面の端にしか映らない目立たないプレーですが、DMFのこのような賢い駆け引きがあっとことによって、中々縦パスが入りませんでしたし、入ってもボールを奪うシーンが多く見られました。素晴らしい集中力と献身性だったと感じています。
・前線3枚の驚異的な運動量と推進力
無尽蔵のスタミナ、と言うべきでしょうか。前線3枚特に両WGネトとファンの献身性、推進力は凄まじかったです。奪った後も簡単にボールを下げずに、まず縦に運ぶ、縦にパスをつけることを考えますし、かといって相手の枚数が多くて確率が低いと感じた場合は無理せずボール保持を優先します。シティ左SBのアケはあまり足が速くないため、ネトがスピードで縦に運んでチャンスメイクをするシーンが多く見受けられました。
ジャイアントキリングのために必要な、前線の守備の献身性と推進力をハイレベルでこなす3トップと言えます。
・集結 ペナルティエリア内に10人!?
ウルブスの守備に対し、シティはどのように対処したかというと、コバチッチのパスコースが消されているので、一度アルバレス、フォーデンなどが下がってワンタッチパスで落とすことによってコバチッチが前を向ける状況を作ります。
またポケットに入ろうとしても中盤がついてきますので、ポケットを狙ってダメだった場合、さらに違う選手がポケットを狙う、という二段ポケットの工夫も見せます。
WGのドクが仕掛けるか、ポケットを狙って背後を取りに行くか、ハーランドに当てて中央突破を試みますが、ウルブズの『集結』によりスペースがありません。本当にすごい時はペナルティエリア内に10人くらいいましたからね。
集結、守備間のスペースを空けない。
結局、シティは打開策があまりなく、ハーフスペースからクロスを多用するシーンが多く見られました。
シティとしてはもっと多様な、長短のパスを織り交ぜた攻撃をしたかったところですが、うまく噛み合わずにイージーなボールの失い方が多かったと言えます。
このウルブスのような5-2-3、運動量豊富な守り方を採用してくるチームが増えた場合、今回は中々解決策が見出せなかったシティが、どのような対策をしていくのかは今後注目したいところです。
・総括
前進の推進力、全員守備のハードワーク、ゴール前での集結、ジャイアントキリングを起こすのに必要な要素が詰まった、とても見応えのある試合でした。まさに、守備がハマっていた試合だったと思います。特に選手が中でよくコミュニケーションを取っており、自分たちで課題を解決しようとするような姿勢が見られました。
これでまだ2勝目というのは驚きですが、能力で劣るチームの勝ち方のお手本のような試合を見させてもらい、とても勉強になりました。是非、フルマッチで見て頂きたい内容です。
今回得たジャイアントキリングのための教訓
・5-2-3前線の守備の献身から成る戦い方
・『チーム』で戦う強み
・集結 中央を閉じ、ハーフスペースを使わせない。