ロングカウンター&セットプレーで決めろ4-5-1ロングカウンター ウェストハムvsM・シティ | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

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技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。

イングランドプレミアリーグ第5節 ウェストハムvsマンチェスターシティ





代表ウィークを挟んでの試合です。ウェストハムも非常に好調なスタートを切ってましたので、個人的には大注目のカードでした。ウェストハムは前半を1-0でリードして折り返すという、シティ相手に今までにない好展開です。が、後半3失点で敗退、シティ開幕5連勝です。


ここまで来るとシティが強すぎて止めるチームが果たしてあるのか疑わしくなってきます。しかし、ウェストハムも前半だけなら勝ってました。(サッカーが45分だけだったら勝ててたのですが……)

今回はウェストハムがリードして折り返せた要因、そして後半なぜ3失点もしてしまったのか分析していきたいと思います。


目次

・シティ布陣

・ウェストハム布陣

4-5-1 全員守備

・後半立ち上がりの分裂 (1失点目)

・第3のパスコース   (2失点目)

・バラバラになった守備 (3失点目)


・シティ布陣


シティは変わらず4-2-3-1、攻撃時は3-2-5となります。


前半はウォーカーが高い位置を取りドク、ウォーカーで両翼を担っていました。コバチッチがケガのためB.シウバがボランチに入っています。


・ウェストハム布陣

ウェストハムは4-1-4-1の形です。



ワントップ、アントニオが強烈なフィジカルを持ってますので、奪ったらアントニオ中心にカウンターを仕掛けゴールを奪いにいきます。アントニオ、パケタ、ボーウェンと、前線にクオリティの高い選手が揃っているので、少ない人数でもゴール前に迫ることができます。


4-5-1 全員守備

背後のスペースを突かれたくないため、ライン設定はあまり高くありません。前線から牽制もかけますし、ボールを奪いにいくこともありますが、あまり中盤のスペースを空けたくありません。そのため、前線はハマらないと判断したら、ボールをむやみに奪いにいかずに、スペースを空けないよう自分のエリアを守ります


前線からハマらない場合、自陣ペナルティアーク付近にライン設定し、FWアントニオもセンターサークル頂点付近でボランチをマークし、コンパクトに守備する。


シティ相手には鉄板の守り方とも言えますが、インサイドハーフハーフとFWを中盤3枚で見ます。


中を通してきたら前向きに奪いロングカウンターを発動させる


両ウィングに対しては、左ウィング、ドクのカットインを警戒して2枚で守ります。


カットインしてきた際のスペースを消すため、サイドハーフが落ちて2枚で守る


右ウイングの位置にいるウォーカーは右利きなのでカットインはあまりありません、ですので2枚で守るのではなくSBが出たらSHがそのスペースをカバーします。


ですので、左右の守り方は若干異なります。

例えば、右利きの左ウィング、三苫選手と右利きの右ウィング、伊藤純也選手ではボールの持ち方が異なるのと同じです。彼らに対しても警戒するポイントが違ってきますから、対応の仕方も変わってきます。


仮にSBが釣り出されたスペースにIHが入って行ったら、中盤の選手がついていく、という決まり事があります。


SBが釣り出されたら、中盤が落ちてそのスペースをしっかりカバーする。


このように、デザインされた守備でシティの攻撃を阻みます。が、シティもそれはわかってますので、前半は左ウィングドクの突破、セットプレーから複数回チャンスを作ってました。

また、ドクに対して2枚付きますので、フリーになったグバルディオルが高い位置を取って、フットサルでよく見られる『ファー詰め』が効いてました。


ドクが2枚引きつけたことによって高い位置を取るグバルディオル。シュートのような素早いクロスをファーに入れることによって、合えば1点という状況を作り出す。


前半は、シティの猛攻を凌いで、1-0で折り返します。縦の距離がコンパクトでしたし、奪ってからのカウンターも少ない人数で攻める素晴らしいものでした。


・後半立ち上がりの分裂 (1失点目)


後半立ち上がり、シティは配置を変えてきます。前半右ウィング的に高い位置を取っていたウォーカーがボランチのように、低い中央の位置でボールを受けるようになりました。

これに、マークしていた左サイドのパケタが引きずり出され、中盤も釣り出されました。


ウォーカーが右サイドから内側に入り、そこに目がいくウェストハム、中盤が釣り出されるも、ラインが低く、余計なスペースを空けてしまう。コンパクトでないためプレスバックも間に合わなかった。


この時ディフェンスラインをしっかり上げてコンパクトにしていればまだ良かったのですが、後半立ち上がり、完全に間延びしていたので、空いたスペースをハーランドロドリ→アルバレスドクと繋がれ失点です。ドクに対しては前半のようにボーウェンと2枚で守れればよかったのですが、ボーウェンも高い位置にいたので、間に合わず11の状況を作り出され失点してしまいました。


ここで、なぜ1点リードしている状態で、このようなスペースを空けてしまったのだろうという疑問が生まれます。ウォーカーの立ち位置の上手さなのか、それとも立ち上がりの入り方が悪かったのか。いずれにせよ、ハーフタイム中にどのようなメッセージを送るべきなのか、チームとしてどのように、意思統一をすべきなのか、考えさせられる失点でした。個人的には、リードしていましたし、強力なFWアントニオがいるので、もう少し後方でブロックを敷き、相手が前がかりになった所をロングカウンターで仕留めにいくという入り方にしても良かったのではないかと感じています。


・第3のパスコース   (2失点目)

1-1になったので、点を取りに行くのか引き分けでもいいのか、難しい展開になりました。

後半モイーズ監督は選手交代を行い、ボーウェンとパケタの2トップ気味の4-4-2にしていました。これが監督の指示によるものなのかは不明ですが、4-4-2となることによって中盤のプレッシング、セカンドボールの回収が困難になるリスクを負いました。失点シーンです。


ループパスを出したアルバレスに対してもう少しプレッシャーをかけたかった。


B.シウバが2列目から抜け出し、DFの頭上を超すループパスで失点です。2列目から飛び出す選手についていくのか受け渡すのか非常に難しい所です。アルバレス、B.シウバが上手かった、CBがかぶらなければ良かったと言えばそれまでですが、あの位置でアルバレスに十分なプレスをかけれなかったことも、失点の要因ではないでしょうか。後半の足が止まる時間帯ではありましたが、誰がプレッシャーに行くのかの役割は選手交代、システム変更によって曖昧になりました。ウェストハムもチャンスは何回か作っていたのでなんとも言えませんが、もし中盤5枚のまま守っていたらもう少しアグレッシブに出ていけたかもしれません。


・バラバラになった守備 (3失点目)


1-2ビハインドとなり、点を取りに行かなくてはならなくなりました。

ラインを高く設定しボールを奪いに行きます。こうなると、シティはやりたいようにできます。GKのエデルソンにプレスをかけても足元が上手いので簡単に剥がされ、背後のスペースをどんどん使われ、ゲームを決定づける3失点目となりました。


というわけで

・後半立ち上がり時の失点

4-4-2にしたことによる失点

・ビハインドをひっくり返そうと前から奪いに行った結果の失点


と後半3失点してしまいました。


サッカーはよく、試合の流れが大事という言葉がありますが、前半1-0で折り返したチームがこうも崩れてしまうのかという恐ろしさと、ハーフタイムの修正力、どんなメッセージを伝えるかはとても大切だなと改めて考えさせられました。



・総括


またしてもシティを、倒すことはできず、気がつけばシティは5連勝です。まさかこのまま全勝優勝とかは….ありませんよね。

しかし、ウェストハムは前半はリードして折り返しましたし、後半チャンスも数回あったので、非常に惜しかったのではないでしょうか。再戦に期待です。また、これまでの5節を通してシティと対戦するチームの多くが中盤を3枚にして、中央のパスコースを消す傾向にあることがわかりました。中央をまずやらせない、ということをどのチームも徹底して対策しているのでしょう。(それでもシティはあの手この手で攻略してくるのですが……。)


今回得たジャイアントキリングのための教訓


・守備時の縦のラインのコンパクトネス 中央のパスコースを遮断

・良いGK、ターゲットとなるFW 少ない人数でも攻め入るため前線に3枚は良い選手が欲しい。

・ハーフタイムの修正力 チームとしての戦い方を統一させるメッセージ


当ブログは、日本代表がW杯で優勝することを目標に、強者をいかにして倒すかを分析したブログになります。

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