シャンパーニュの出荷前に澱抜きした後に加える「門出のリキュール」は、蔗糖をワインに溶いたものです。このときに加える蔗糖の量によってシャンパーニュの甘さが調整されます。

 19世紀の初めまで、シャンパーニュは甘いものが好まれていましたが、消費量が大きく伸びるに従い、甘さに対する好みも甘口から辛口へと変化しました。

 シャンパーニュのラベルには甘辛度が表示されています。今、最もポピュラーなのはBrut(ブリュット)です。Brutは1リットル当たりの糖分を15g以下に抑えた辛口であることを表示しています。もともとはシャンパーニュに使われた用語ですが、スペインやイタリアのスパークリング・ワインでも甘辛度を表示する用語として使われています。

 Brutよりも辛口で、糖度が1リットル当たり6g以下のものはExtra Brut、3g以下のものはBrut Natureと表示されます。また、ExtraとかNatureという単語の代わりにメーカーが独自に決めた用語を使っているケースもあります。

 Brutよりやや甘いものはSec(セック)と表示されます。Secよりさらに甘いものはDoex(ドゥー)です。

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 デゴルジュマン(degorgement)はルミアージュ(動瓶)によってボトルの口付近に集めた澱を抜く作業です。

 具体的には次のように行います。まず、ボトルを倒立させた状態で、口の部分をマイナス20度以下の塩化カルシウム水溶液に浸し、口の付近に集まった澱を凍らせます。そこで、王冠を抜くと、スポンッという音とともに澱が飛び出します。作業は機械で行うのが普通ですが、手作業で行うケースもあります。

 澱が抜けるとボトルに少し隙間ができます。そこに蔗糖をワインに溶かしたリキュールを注ぎます。これをドザージュ(dosage、補酒)と言います。目減りした分を補いつつ、シャンパーニュの甘さを調整します。補うリキュールのことは「門出のリキュール」(Liqueur d'Expedition)などと呼びます。ドザージュは出荷前の最後の工程になります。
 シャンパーニュはボトル内で澱(酵母の死骸)と一緒に熟成しますが、出荷前に澱はボトルから抜き出します。そのために、まずボトルを動かして澱をボトルの口付近に集めます。これをルミアージュ(remuage、動瓶)と言います。古典的なルミアージュの方法は、瓶口を下にして木製の台に配置しておき、ボトルを1本1本、毎日少しだけ回転させる方法です。

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 現在のルミアージュは手作業ではなく、ジャイロパレット(Gyropalette)という機械を使うのが普通です。手作業では数週間もかかる作業が、ジャイロパレットを使うと数日間で済んでしまいます。

 2次発酵のために砂糖と酵母をボトル内に添加するとき、同時に清澄剤も加えます。清澄剤は主にベントナイトという粘土が使われますが、スティル・ワインに使うものより重いものが使われます。ルミアージュによって澱をボトルの口付近に集めるには、清澄剤は重いと都合が良いからです。
 ボトル内での2次発酵が済んだシャンパーニュは熟成に入ります。熟成期間はAOC(原産地統制呼称)のルールで決められています。ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュでも15カ月以上の熟成が必要です。ヴィンテージ・シャンパーニュは3年間も熟成します。高級シャンパーニュはルールで定められた期間よりも長い期間をかけて熟成させます。

 シャンパーニュがボトル内で熟成するとき、ボトルの中には澱(酵母の死骸)が入っています。澱は分解されて旨み成分になります。ロワール地方ナント地区には「シュル・リー」(Sur lie)とラベルに記載し、澱と一緒にワインを熟成させたことをアピールするワインが存在しますが、シャンパーニュはいわばボトル内シュル・リーで熟成します。

 熟成期間中にシャンパーニュは仮栓を通して二酸化炭素が微量に漏れ出し、同時に酸素が入り込み、ゆっくりと酸化が進みます。熟成期間の長い高級シャンパーニュは、二酸化炭素の漏れた量も多くなり、内圧が下がっています。グラスに注ぐと内圧の高い(熟成期間が短く安価な)シャンパーニュよりも細かい気泡を発生します。
 シャンパーニュはヴァン・クレールと呼ぶ白ワインを瓶内でもう一度アルコール発酵させて造ります。複数のヴァン・クレールをブレンドし、砂糖と酵母、清澄剤を加えてタンク内で攪拌し、ボトルに詰めます。ボトルはプラスチック製の栓と王冠によって密封します。ボトル内で2次発酵させるためのボトル詰め作業をティラージュ(tirage)と言います。

 密封されたボトル内では、砂糖を原料にして発酵が始まり、アルコールと二酸化炭素が発生します。ヴァン・クレールを造るときの発酵を1次発酵、ボトル内での発酵を2次発酵と言います。2次発酵中、ボトルは12度Cの環境で、水平の姿勢にして積み上げられます。2次発酵には通常、6~8週間かかります。

 加える砂糖はビート(砂糖大根)やサトウキビから作ったものです。砂糖の量は昔から1リットル当たり24グラムという値が一般的とされています。これにより、アルコール度数が1.2~1.3度上昇し、ボトル内の二酸化炭素による圧力は約6気圧になります。