台湾の眷村(juàncūn)を舞台にした映画やドラマについて | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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ちょっと前に、次回は台湾の眷村(juàncūn)を舞台にした映画とドラマについて書く、とか言いつつ(過去記事)さんざん別の話、しとりました。


鑑賞前はあまり知らなかった外省人の方の苦労、苦悩、壮絶な体験、過去、故郷への思い、台湾への思い…が少しは理解できたかな、という映画&ドラマの数々。


私が見たのはまず、次の3つの映画。

『小畢的故事』(1983)

朱天文の小説を映画化したもので陳坤厚監督、侯孝賢の脚本。眷村で暮らす少年の成長物語だが、少年は後述の『牯嶺街少年殺人事件』や直木賞小説『流』(東山彰良)の主人公と同じように、勉強はよくするが学校をサボり、不良ではないが徒党を組み、台湾人のゴロツキたちと悶着を起こし、見えない何かに怯え苛立つ…。外省人第2世代の一つのモデルだと言っていいだろう。


『香蕉天堂(バナナパラダイス)』(1989)

外省人第1世代の半生をユーモアを交えつつ描いたのが『香蕉天堂(バナナパラダイス)』(1989)。渡台後ある人物になりすまし、歴史と社会の荒波を乗り越えていく主人公、門閃。彼の目を通して描かれた戦後の台湾史でもある。王童監督の「台湾近代3部曲」と言われる3作品の一つだが【あと2つは日本植民地時代を描いた『稻草人』(1987)と『無言之丘』(1992)】、この3つの中では比較的気楽に見られる。


『牯嶺街少年殺人事件』(1991)

そしてなんと言っても『牯嶺街少年殺人事件』(1991/楊德昌)。1961年に台湾で実際に起きた外省人の少年による殺人事件をモチーフに当時の台湾社会をリアルに描いた作品である。親世代の不安や絶望を敏感に感じ取っていた外省人第2世代の若者たち。彼らが居場所を求めて徒党を組んだ「幫派(一種の不良グループ)」と、その周辺で必死に生きる少年少女の物語。映画の中で頻出する「眷村黑話」と言われるスラング(過去記事 )にも注目したい。


その他の映画やドラマ

そして、以下の映画やドラマも見ました。

テレビ映画『蟹足』(2006)王偉忠監督
映画『爸,你好嗎?』(2008)張作驥監督
ドラマ『光陰的故事』(2008)王偉忠監督
映画『逗陣ㄟ』(2013)盧金城監督
映画『軍中樂園』(2014)鈕承澤監督
映画『空中家族』(2015)王童監督
ドラマ『一把青』(2015)曹瑞原監督
ドラマ『五味八珍的歲月(料理が冷めないうちに)』(2017)徐輔軍監督

↑最後の『五味八珍的歲月(料理が冷めないうちに)』のように、特に眷村が舞台やテーマというわけではないものもありますが、外省人の方の生活が垣間見えるということで。


それぞれの内容についてはまた改めて。