映画の中の台湾語『南方小羊牧場』 | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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『南方小羊牧場』(2012)、日本語のタイトルは『狼が羊に恋する時』。とにかく可愛さ100万点のラブストーリー。細かいツボがいろいろある。

まず、柯震東と簡嫚書が超かわいい。柯震東は『那些年我們一起追的女孩』に次ぐ2作目の主演作品。似たようなキャラだけど、こちらもいい感じ。簡嫚書はわたしが台湾ドラマベスト2にプッシュした『那年,雨不停國(あの日を乗り越えて)』の主役。ドラマでは大きな悲しみを背負った女子高生を好演、この映画ではキュートさが全面に出ていてホント可愛かった。

それからこの映画の舞台である台北駅前の南陽街。わたしがいつも泊まるホテルがあるところで、好きで好きでたまらない場所。見慣れた景色が映画の中で見れるのが何とも嬉しい。

そしてそしてもう一つのツボが特別出演の役者さん。迷子犬を探して夜遅く街をうろついている阿東(柯震東)に「麺を食べるかい?」と声をかける屋台のおじさん。眼光鋭く「ただもんじゃない」感がハンパない。『賽德克‧巴萊(セデック・バレ)』で主人公モーナルダオを演じた林慶台さんなのだ。もともとプロの役者さんではなくて牧師さん。『南方小羊牧場』の中でアツアツの麺を準備しながらなんで牧師になったのか、阿東に聞かせてくれる…。ここ、最高!

台湾語も阿東がバイトするコピー屋のおやじさんとか迷子の犬を探してくれて頼みにくるおばちゃんがばりばり使っている。コピー屋のおやじさんは完全に中国語と混ぜ混ぜだが8:2くらいの割合で台湾語が多い。阿東(柯震東)にも台湾語で話しかけるが若い阿東は中国語で答える。ドラマでもよく見られる風景。

迷子になった飼い犬、状元(tsiōng-guân/じょんおあん)を探してほしいとおじさん(→阿東)に頼みにくる油飯売りのおばちゃんはほとんど台湾語。状元は小道に迷い込んで出れなくなってしまっていたのだが若い女の子が見つけだしてくれる。

状元を抱いて家に帰るその女の子と油飯売りのおばちゃんはあと少しのところですれ違ってしまうが、おばちゃんは、ダンボールに入れて捨てられていた子猫たちを見つけて抱き上げる。そしてきっと連れて帰ってくれるのだろう。おばちゃんの台湾語のセリフ、あったかい。

哎喲,按呢遐可憐哪
(Āiyo,án-ne hiah khó-liân na)
 あいよー、なんてかわいそうなんだろう。
 
誰共恁放捒啊 (siâng kā lín pàng-sak a)
誰がお前たちを捨てたんだろうね。

無要緊無要緊 (bua̋-kín bua̋-kín)
だいじょうぶだいじょうぶ。

阿媽 惜惜(āma sioh sioh) 
おばちゃんがいるよ(助けるよ)
よしよし よしよし。

最後の「よしよし」惜惜(sioh sioh) は、もう台湾華語化が進行していて、似た発音の「秀秀(xiùxiù)」があてられることも多い。