【人を支配せず、支配されない。自由であるために】
パワハラをされない人になるためには、戦わなくてはなりません。
パワハラをする人間は、そもそも卑劣な人間なのです。
明らかに自分より立場が弱く、決して反抗的な態度を取らない。
仮に反抗的な態度をとってきても、圧倒的な立場を利用すれば、いとも簡単に跪かせることができる。
その経験値と確信があるからパワハラをするのです。
パワハラをする人間は卑劣なクソ人間です。
だから、そんな輩が一番恐れることは、パワハラが罪だということを思い知らされることです。
仮にバレても、周りが目を瞑る。見て見ぬふりをする。
だから、クソ野郎は調子に乗るのです。
パワハラは罪になるし、処分の対象になるということを、はっきり分からせないといけない。
そこまでやらないと止めさせられません。
だから、諦めてしまうのです。
もし、その会社のトップが、パワハラ野郎だったら?
もうダメです。
そんな輩が転がしている会社は、会社そのものがクソ会社です。
そんな会社のために働きたいですか?
そんな会社の利益に貢献したいですか?
やめましょう。転職しましょう。
これから書く話は、あくまで、そんなブラック企業にお勤めの方向けではありません。
パワハラ被害をきちんと訴えれば、きちんと対応してくれる会社にお勤めの方で、そんな中でパワハラ被害を受けておられる方のためのお話です。
では、参ります。
パワハラをされないようにするためには、まず最初に、
「いざとなったら自分は身を守るために戦う人間だ」
と、いうことを相手に示さなくてはならないのです。
パワハラが始まってからその準備をするのでは遅すぎます。
日頃から、パワハラをさせない。
隙を作らないことが、ものすごく大事になります。
「そんな強い人間になれない。そんなに肩に力を入れて生きていくことなんてできない」
それでパワハラをされないのであれば、全然、そのままでいいんです。
癒し系キャラでパワハラを上手に交わし、おじさんを手のひらで転がすように、パワハラ発言を軽く受け流すことができるのであれば、それで構いません。
あえて戦いを挑む必要などありません。
しかし、今、この瞬間パワハラで苦しんでおられる方は、今すぐに戦えるあなたに変わる必要があります。
愛や慈しみを全面に現しても、パワハラクソ野郎には通じません。
ビジネスに自己犠牲の精神は時には必要ですが、たいていの場合は必要ありません。
一番大切なのは、自分です。
愛や慈しみは、ただただ、
「みんな仲良くしましょう!」
と、声高らかに宣言することではありません。
相手の非に目を瞑り、相手の非を受け入れることではないのです。
ただ言いなりになっているということと、相手を受け入れるということは全く違うのです。
共存、共栄するためには、
「間違いは間違い!」
と、はっきり言える関係性を築くことが大事なのです。
そのためには、自分と戦わなくてはなりません。
常に誰かに依存する自分。
自分を甘やかす自分。
弱い自分。
時には弱さを露呈してもいいんです。
でも、それも”時には”です。
それと、
強くならないと、弱さを露呈することすらできないということも知っておいてください。
「弱くてもいい」
は、自由のために戦っている人。
そんな人のための言葉だということを忘れないでください。
【派遣の分際で!】
これは、わたしのクライアントさんでもある、派遣女性(佐江照さん)のパワハラ事案です。
彼女は前の職場でもパワハラを受けてました。
メンタルをやられ、少しだけ休養していた時に、わたしのコーチングを受けました。
そして、半年前に新しい職場で働き始めました。
「パワハラには絶対に屈しない!戦う!」
と、自分に言い聞かせて。
そして、予想通りというか、派遣社員にはあまりに有りがちというか、働き始めてすぐにパワハラを受けるようになりました。
以下の内容は、彼女がこの半年間で受け続けたパワハラを事細かくメモにとり、時には会話を録音してきた記録です。
彼女の許可を得て、その一部をここに紹介したいと思います。
個人が特定されないように、名前や職場については伏せさせていただきます。
でも、これが彼女に起こった、たった半年の出来事です。
佐江照さん(仮名)は、派遣会社からの紹介で、銀行系のある会社で働くことになりました。
会社そのものの規模は比較的大きいのですが、彼女は派遣ですから、その中の一つの部門の事務と言う形で派遣されました。
その部門には、トップに部長がいて、その下に次長がいます。
そして、若い社員が5名ほど。部署専門の事務職員が二人。
二人とも女性で彼女はその二人のサポートという形で働くことになりました。
佐江照さんは、過去に外資銀行で10年間働いていた経験があり、英語も堪能。事務系ソフトも使いこなせるので仕事自体はかなり有能でした。
集中力が高く、没頭すると誰よりも仕事が早い。
しかし、前の会社では、温厚で穏やかな性格が災いして、頼まれた仕事は断れず、無理難題も無理をすればこなせてしまうので、周りが彼女を良いように使い回すようになっていきました。
結果、仕事を抱え込んでしまい、上司のミスの責任も押し付けられ、身体を壊し、メンタルダウンしてしまったのです。
何を言われても受け入れてしまい、何も言い返せない自分を変えたくて、わたしのコーチングを受けるようになりました。
働き始めは比較的、順調でした。
予想以上の能力の高さに、部署の全員から気に入られました。
もちろん事務トップの50代の女性社員、根田見さん(仮名)からも気に入られました。
すぐに、事務系の仕事だけでなく、部長や次長からも雑用以外にも企画書の作成の補助なども頼まれるようになったのです。
特に部長は佐江照さんのことを高く評価し、毎月一回開かれる企画会議のための企画書を作ってみてはどうかと提案してくれました。
「佐江照さんは色々と経験もあるし、アイデアも持っていそうだし」
とても嬉しいお話でした。
「いいんですか?わたし、派遣ですよ」
「派遣でも社員でも同じだよ。いいアイデアがあれば採用するし、佐江照さんのアイデアが採用されたら、佐江照さんにそのプロジェクトのリーダーをやってもらう。当たり前のことだよね。だから考えてみて」
「はい!」
その結果、二ヶ月続けて彼女の企画が採用されることになったのです。
そんな時でした。
部長から、
「もし、社員として正規採用ということになったら、どうしますか?うちの社員になる気持ちはありますか?」
佐江照さんは、
「もちろんあります。ここはとても働きやすいし、皆さん親切な方ばかりですから。もし、可能ならお願いしたいです」
「わかりました。どうなるかわからないけど、会社に話してみます」
「ありがとうございます!」
その話は、すぐに部署の全員に伝わりました。
その一週間後、佐江照さんは直属の上司にあたる次長に呼ばれました。
「佐江照さん、あまり目立つことしてほしくないんだよね」
「・・・・・どういうことでしょうか?」
「事務の根田見さんがね、『派遣の分際で生意気だ』って言ってたよ。佐江照さん、目立ちすぎなんだよ。派遣なんだから派遣らしくさ。目立たないようにしてくれる?だから、次から企画会議にも出なくていいから。企画も出さないでいいからね」
根田見さんがそういう風に思っているというのは残念でしたが、そういう兆候は、部長から目をかけられるようになってから薄々感じていました。
根田見さんは、部長のことを上司というよりは、ファンという目でいつも見ていたと言います。
つまり、佐江照さんへの嫉妬です。
根田見さんは、事務のトップという肩書き以上の力を持っていることが、佐江照さんの立場をややこしくしました。
もちろん部長や次長の方が立場は上ですが、根田見さんは部署のことを全て把握しているので、事務手続きなどの全てを長年、彼女に頼りきりのところがあったのです。社長の覚えもいいということで、部長も次長も根田見さんには頭が上がらないという感じでした。
「わたし、生意気な態度なんてとっていません。目立つことって具体的にどういうことですか?」
次長はその質問には答えず、
「佐江照さん、社員になりたいんでしょう?根田見さん、人事にも口の利く人だから、とにかく目立たないで」
佐江照さんは、すぐに派遣会社の担当の方に、この件を話しました。しかし、派遣会社の担当者は、
「佐江照さんが仕事ができるから根田見さんは嫉妬してるだけだと思います。だから気にしないでください」
そう言われるだけでした。
「本当はそれだけじゃないんだけどな。女の嫉妬なんだよな〜」
そう思いましたが、言いませんでした。
なぜなら、それを言ってしまうと、それを聞いた派遣会社の人は、
「佐江照さんと根田見さんの部長の取り合い」
と、いう構図で見てしまいます。だから、
「女の嫉妬」に関しては、佐江照さんは誰にも言わず、胸に閉まっておきました。
パワハラとただの嫉妬を混同してはいけないのです。
つづく
