C56108(雲南市木次体育館横町民公園) | 海水浴特急【全国保存蒸気機関車めぐり】

海水浴特急【全国保存蒸気機関車めぐり】

全国各地470余りの保存蒸気機関車を訪ねています。現在の訪問数450機です。

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山陰~山陽の保存蒸気機関車めぐり、後半の3日目からのレポートに入ります。
11機目は雲南市木次体育館横に保存されているC56108です。

C56108
1937-8月:三菱重工神戸造船所製番208 配置神戸局
1941-3月:木次区
1972-3月:浜田区  
1974-7月:廃車

今回山陰~山陽の保存蒸気機関車めぐりに出かけようと決断したのには2つの大きな理由がありました。
一つは解体の危機を乗り越え、再整備され11/3にお披露目となるC56108の晴れ舞台に立ち会いたかったこと。もう一つがこのblogを始めて最初におともだちになっていただいた機関車やえもんさんが整備する新見市D51838の公開イベントが翌日の11/4にあり是非お邪魔したかったことでした。いよいよその一つ、C56108の訪問となります。


島根県雲南市木次町の旧木次町体育館横に保存されていたC56108の突然の解体発表がされたのは今から2年前、2011年9月の事です。C56108は新製時より一環して木次機関区に配属され、木次線無煙化後浜田機関区の所属を経て現在地に保存されていました。地元ゆかりの機関車ということで、長年「ちどり会」という国鉄OBのボランティアの方々により大切に保存整備をされていました。しかし2005年に車体にアスベストの使用が発見された際に、雲南市教育委員会からボランティアの方々へ維持管理を中止するようにとの指示がありました。以降6年間にわたり機関車は放置され続け、野外での雨露に腐食がはげしくなり危険物と判断され今回の解体という決定に至りました。雲南市民は2011年9月22日付けの新聞(山陰中央新報)の報道により初めて公式に解体を知り、その直後の雲南市議会において解体費用予算350万円も可決されてしまいました。このC56108の危機に直面して立ち上がったのがこちらのblogを主催されている「おろちさん」たちです。

C56108の保存活動ブログ
http://ameblo.jp/c56108/

今回の解体決定から紆余曲折を経て再整備・保存継続に至った経緯はすべてこちらのblogに記録されています。行政がいかに保存蒸気機関車のことを理解していなかったのか、機関車に思い入れのある人達がたくさんいることを解っていなかったのか、それらが非常によく解るとても貴重な記録です。皆さんもぜひ最初からお読みになってください。

おろちさんやこの機関車を愛する人達の活動が実り、保存継続が決定し、再整備されたC56108。私もとにかく訪問するのが楽しみで出雲市を7時前には出発し、8時前には現地に到着しました。早朝は曇り空でしたが当日は生憎の雨予報、空には厚い雲が広がっていました。対面したC56108は、本当に素晴らしい状態に整備されていました。6年間の放置により腐食した箇所は丁寧に補修されています。それはシリンダーカバーによく現れていて、単なる鉄板の張替えではなく図面を起こしオリジナルを忠実に再現しています。旧塗装のケレン処理もしっかりとされていて、塗装は艶消しの黒で現役時代を髣髴とさせる仕上がりとなっています。キャブ窓枠も木製で再生され、欠損したメーター類は盤面の印刷等により再生されています。テンダー下部からは外部コンプレッサーにホースが伸びていて、汽笛の吹鳴も行なわれるようです。

写真を撮っていると一人の男性がやって来ました。おろちさんでした。ご挨拶させていただき、blogを拝見していてどうしても本日立ち会いたかったこと、全国の保存蒸気機関車を巡っていることなどをお話しました。おろちさんからはこれまでのご苦労、そして今日はゴールではなくこれからの新たな保存活動のスタートであることなどを伺いました。そうしているうちに、私同様この日に立ち会うために全国からやって来た人達がいます。やまてつさん、春日井のつばめさん、愛媛のKAZEさん、ポニー139さん、お名前はもちろん知っていました。全国の保存蒸気機関車について、ボランティアで様々な整備・保存活動をされているこの業界の超有名人ばかりです。私も保存蒸気機関車に興味を持ち、いつかはみなさんにお会いしたいと思っていましたがついに実現しました。みなさんは今日のお披露目を盛り上げるために、発煙機、日章旗などを設置し汽笛の調整もされていました。C56108が解体の危機を乗り越え再整備されたことを本当に喜んでいらっしゃるのでしょう。

そして開式30分ほど前には、JRさんから本物の「ちどり」ヘッドマークが届けられ、機関車に掲げられました。松江で見た朽ち果てたヘッドマークとは大違い、大切に保管されてきた現役時代そのままのヘッドマークです。そしていよいよ記念式典の開会となりました。この頃から雨が本降りとなり、あいにくの天候となってしまいましたがたくさんの人達が集まりました。保存会としてのおろちさんのスピーチは、この機関車が地元にいかに貢献してきたか、木次の歴史として大切にされるべきものなのか、熱く語られていました。それは二度と解体などという問題が起きてはならないという力強いメッセージであったと思います。

式典後は多くの人達がC56108を見学し、キャブ内の運転席に座り、汽笛を鳴らし、この機関車が綺麗になったことを喜んでいました。私もこの場に立ち会えて本当に良かったと思います。全国の保存蒸気機関車を取り巻く様々な事情・問題が、一連のC56108の復活に凝縮されています。今後各地の機関車保存活動に、今回の経験が生かされることを願ってやみません。


※2013年11月3日訪問
※2013年訪問数 191機
※累計訪問数  243機