2016年、全国の保存蒸気機関車をほぼ訪問しこのblogも休止していましたが、amebloに移転したのを機会にまたネタがあった際に更新することにしました。
今回はまだこちらでレポートしていないC11207です。現在は東武鉄道にてSL大樹として動態で活躍しています。
C11207
1941-12月:日立製作所笠戸製番1488 配属札幌局配置静内区
1967-10月:苫小牧支区
1973-12月:長万部区
1974-6-30/日:瀬棚線SLさよなら列車牽引(長万部-国縫-瀬棚)
1974-10-01/火:廃車、静内町山手公園にて保存
2000-9月:JR北海道の動態保存機に決定・復籍 配置 旭川運転所
2014-11月:全検見送りのため廃車
2015-08月:東武鉄道が2017以降に借入れて鬼怒川線下今市-鬼怒川温泉間での観光列車の運行を予定するという公式発表あり
2017-08-10/木:東武鉄道鬼怒川線 下今市-鬼怒川温泉間で営業運転開始
C11207は製造後一貫して北海道日高本線、瀬棚線で働いた機関車です。最後に瀬棚線SLさよなら列車を牽引し長年働いた静内町に保存されました。霧が多い日高本線での運用のため通常1つの前照灯が2つついているのが大きな特徴で、カニの目のように見えることから「カニ目」とよばれています。これは前後ともに装備されています。珍しいカニ目機関車は倶知安町文化福祉センターで保存されている79615もカニ目でしたが、こちらは私訪問時(2015年6月26日)には片目が脱落して残念な状態でした。
カニ目のほか回転式火の粉止め通称クルクルパー、そしてJR動態保存機の特徴でスノープラウ(こちらも前後に装着)の下にATS車上子・機器類が設置されています。また後部タンクの上部に東武鉄道用のL字型無線アンテナが増設されています。しかし一番大きな特徴は、機関車の後ろに車掌車ヨ8000が必ず連結されていて、それがないと運行できないということ。東武鉄道は大手私鉄でATSも高度なタイプをほぼ全線にわたって採用していて鬼怒川線も例外ではありません。新型ATSは機器類が多く新型車両はあらかじめ車上装置の場所を設計に反映できます。蒸気機関車は炭水車を連結した大型機関車であれば、炭水車側に設置できますがC11のように小型タンク式蒸気機関車には搭載場所がありません。そこで車掌車を連結しATS車上装置を搭載したのです。これはすごいアイデアですね。そのため転車台も大型のものが設置されています。
鬼怒川温泉駅の機回しでC11207を撮影しました。これほどの手間をかけてC11207の動態運転を実現した東武鉄道。駅や機関区の設備、乗客を乗せる14系客車、補機となるDE10、そして何と言っても運用する人材の育成。これまでのローカル私鉄のSL復活とはまったく規模の違う東武の蒸気機関車運行は本当にすごいと感心しました。
※2019年9月28日訪問
※累計訪問数 450機