岬 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




『岬』








 夏の波

 その冷たさに預けたし

 若き身を

 ただそれだけの若き身を

 こころ忘れし日々の身を

 ひた打つ波の深き中ほどに向け

 歩きいくとき

 そのときの身を