夢から覚めたら | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

  

 役者は観客やカメラの前で

 いつも正しく嘘をついている

 言ってみれば

 役者は夢を作っているのだ

 幸せな 不幸な

 冷静に 情熱的に

 悲劇を 喜劇を

 束の間の 永遠を

 でも ときどき

 本音を口にしそうになる

 夢の中から手を伸ばして

 現実に触れようと

 やわらかく温かな現実に


 そんな本音がお芝居を深くするときもあれば

 本音がお芝居を台無しにするときもある

 それが役者というものの

 投げたコインのような人生の

 ピエロの笑顔のような人生の

 素敵で悲しい裏表



 貘を一匹飼おうかな