風になりたい | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある














 風はひゅーひゅーと鳴り
 竹はお互いにからからと打ち当たる

 風のようにすべてを捨てるように生きてきた者は
 人のようには生きられないのかもしれない

 ならば風に
 そうでしかありえぬ風になりたい

 遠い鳥たちの声
 煌めき踊る水辺の漣(さざなみ)

 風に
 何も持ちえぬ風に

 いつまでも持たぬ者である風に
 ただ過ぎていく形なき姿の者に