夜のamazing grace | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 夜に聞くアメイジング・グレイス
 
 I once was lost but now am found,
 Was blind but now I see

 余りにも有名な
 迷える者の救済を歌う

 二胡で聞けばそれは何故かアジアの夜
 遠くキリスト教の文化を離れて

 そのとき
 その救済者は誰だろう

 遍く神の光は地の表を覆い
 その言葉が真実であるなら同じ神

 キリストに何故見捨て給うたかと言わしめた

 それは忘れよう
 この静かな夜はもはや神や救済とは違う次元

 あるとするならば
 救済はこの音の流れに耳傾けること

 人格を持たぬ神
 流れ行く時間の川に身を委ねることか









 







 まだ起きている人たちのために