鳥へのシンパシー | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 コウノトリに運ばれたわけでもないのに
 いつの間にか
 鳥に共感するようになっていた

 道端で
 落ちている何かをついばむ鴉にさえ
 お前
 その濡れ羽色は美しい
 今は何を探しているのかと問いかける

 お前にも翼があって
 空があるのか
 なんという幸福だろうかと

 けれど
 鳥たちの生き方は何処が人と違うのだろう
 翼のあるなしだけではないに違いない

 喉をからして鳴く者でありながら
 ひとり静かについばむものであり
 飛び立てばもはやその地を覚えてはいない旅人

 空の予兆
 地に実体のない地に投げられた影
 水辺の命かけた舞踏
 空虚な谷合いの姿なき歌びと
 朝まだき人通りのない道の踊り子

 変わりゆく季節
 過ぎていく時間に抗(あらが)うことなく
 生まれ
 それぞれの季節をそれぞれに生き

 黒き鳥白き鳥
 虹色の鳥

 数知れぬ鳥たちの生きる姿の
 わきあがる水の柱

 いつまでも風に紛れまぎれて行く
 青の城
 
 ああ今や空に居て
 いまだ果たし得ない鳥の生き方