山路を歩く | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 翳りやありて竹の葉の音
 溢れる初夏の昼光る風
 ああ時がさらさらと揺れている
 
 山の日陰の葛(つづら)折りの道
 幽(かそけ)く笑う苔の色
 遠鳴きする鳥たちの夢は何処にか

 想いあまりて散策のあてどなく
 木々のあいだを吹いてくる
 風に紛(まぎ)れて今日も歩き行く