春の冷たさは | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




『春の鳥の透明な温度を』






 春の冷たさは

 透き通るような水の温度

 不意に身震いする刹那

 愛の重みも意味も知らぬまま

 春の鳥のように飛び

 この身体を突き抜けていく風の願い