花と帆 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある









 部屋の机の上で花が輝き始め

 窓の外を帆をあげた船が過ぎていく

 一瞬それは

 花の出帆のように思えた

 帆柱を鳴らし帆を膨らませて

 花が出発する

 季節が峠を超えて

 明るき陽光の中を

 新しい時間が始まるように思えた