心象の山 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある








  

 その朧気な記憶
 もはやいつの何処であったかも定かではない

 山に登ったときだったのか

 あるいは遥かに以前の
 まだ幼きときの

 その光景を今は幻と呼んでも構いはしない

 いつ何処であったのかは定かでないのに
 水が湖であったか
 それとも遠景の海であったのかも

 なのに
 光景だけは鮮やかに思い出される

 いや思い出すというより
 それこそ脳というフィルムのどこか

 僕という存在に写し込まれた

 幾度となく
 わけもなく

 そこは何処なのか

 今ここで僕が目の当たりにして
 スケッチしている場所であるはずのない

 遥か彼方の
 2015年2月20日のこと