雨の日には | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 雨の日には祈ってはいけない


 雨が止むようにとか

 もっと降ってほしいとか


 雨は勝手に降るだけだから

 ただ雨を

 雨に濡れる枝を草を眺めるだけだ


 それが悔しければ

 薄着をして雨の中を突っ走る


 すすんで雨に濡れる身になると

 退屈だった雨が急に違って見えてくる


 もしかしたら

 何かしら新鮮な出来事があるんじゃないかと


 だから雨の日には祈らずに

 顔に雨を受けて笑ってみる


 そのうち雨の方でどうにかするだろう