電気ヒツジの見た夢は | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




『電気ヒツジの見た夢は』






 冬の野の陽溜りで

 電気ヒツジが眠くなり

 鼻を地面にくっつけたまま見た夢は

 風が歌っている夢だった

 ほあんほあん みろんみろ

 でもどんな景色でその風が歌っていたのか

 ヒツジでない僕にはわからない

 ほあんほあん みろみろん

 あたたかな牧場だったのか

 きっと自由気ままな夢の夢

 やわらかな赤い干し草の中で見た