聖夜の星 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 冬の夜に
 星を見る

 遠い昔に星が三人の王たちを
 救い主の生まれた厩へと導いたと言う

 しかし
 そのときも今も
 星は何も語らない
 語らない沈黙の瞬きゆえに
 星の意図は如何ようにも説明できる

 美しい星座を見上げる

 ああ
 すべては人間が仮託したものだ
 その仮託された物語を人々が美しいと思う
 それは人が創りだした物語であり
 それに酔いしれているのもまた人なのだなと思う

 人は物語を作らずにはいられない生き物であり
 その物語に酔うことすらできる

 
 聖なる夜よ
 中空の神話
 限りない人間の憧れに膨らんだ夢の
 終わりのない祝祭

 
 そして今夜も
 星には言葉はないが
 星は変わらず美しい


 美しい?
 それすらが人の作った感情なのだろうか