冬のメルヒェン | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



『冬のメルヒェン』






  鷺は水辺を翔び続けていた

  月は満月のまま欠けることなく
  赤と褐色と黄色の木々を浮かび上がらせ
  雪も止まることなく舞い落ちて

  いつまでもいつまでも
  刹那がそのままで永遠であるように
  ずっと鷺は飛び続けていた

  その長く大きな翼で時を切りながら

  新しい光の生まれいづる日までもと