光の広がる部屋 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 今夜は風も強い
 夕方までの雨もそうだったけれど
 激しくはないが小さな嵐のようだ

 曇天の冬
 冷たい雨
 言ってみれば暗い印象なのだけれど
 身が引き締まるというか
 凛となるというか
 そういうことでは冬は良い季節だね

 雨が上がり
 明日は晴れるのかな
 晴れたなら
 光が部屋の中に広がって
 世界が明るくなった気がするだろうか

 ここはどちらかというと堅牢ではあるけれど
 光りに包まれている感じはそれほどない
 風の強いところだしね

 こんな絵を描いたのも
 春ではなくて実は冬だったような気がする

 アマノジャク?
 というか現実は現実
 でも現実を超えたイメージも大切だと思う

 明るい部屋
 そのなかで鴎が飛んで行ったり
 ツーカンが笑ったりする
 時計が明るく時を刻んで

 そして何よりも心に射しこんでくるのは
 家具も何もかもが
 遠近法の透視図みたいに
 光を透過しているという感覚

 そんな空間を想像する
 たぶんそれは
 家ではなくて
 僕自身なのかもしれない

 まあ言ってみれば
 僕の心の部屋