はためく音を | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




『ま白い腕で』


 
 
 黒い七色の闇の中で
 ま白い腕が叫んだ
 投げ与えるこの乳房のゆえに
 愛はもはや求めるに値せぬ

 ただ遠き音を射て
 肌(はだえ)の色を聞くがよい
 
 黒曜石の屋根瓦の遥か上を飛ぶ
 翼のはためく音の
 いかほどにもか深々と
 ぬれていくことか