仄白いとき | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 
 仄白いとき

 机の上に見たくもないものが置かれていたりすると
 蛇がひそやかに嗤っている

 誰が人など愛せるものか

 青透明なガラスの扉を
 握り拳ほどもあるダイヤで叩き割るようなもの

 私は憎む
 すべてを
 それ故に
 私は滅びる
 すべての中へと

 私などなくなればよい

 風にたやすく揺れる月

 夜の風呂で見出された蛞蝓(なめくじ)の
 消えていく

 すっと存在のなかほどへ