その場所へ | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 誘(いざな)うがよい

 白き石の乾いて満てるその場所へ



 解けた服

 白鷺が叫ぶ空の拠点がなぜ必要なのかを



 透き通った肌の奥に繰り返される潮の満ち干が

 「なぜ」を繰り返し聞き質(ただ)すとしても



 雨に濡れることのない高みの月の

 冴えざえと鳴っている光



 孤独でなければ僕は生きない

 温かき人の吐息で僕の眼は死んだ鰯のように干乾びる



 なぜという疑問詞が

 答えを産まぬ夜



 それらすべてが人生を構成する



 波打ち際の

 役立たぬ回想よ



 時こそが最大の孤独だと何故言わぬ

 一万光年の長き夜を超えるのはお前ではない