その詩は誰も読めない古い時間に置かれた
伝えることは
意味することは
木の葉のように枯れ落ちて
トラピストの修道女は声を神に捧げてしまった
語られたときに死ぬ言葉より
歌い手のいない沈黙の
揺るぎない身振り
ただの一文字も書かれていない
届けられることのない手紙
自律する一度だけの
還りこない木魂(こだま)
動詞も形容詞も
名詞さえ失った構文の
もはや誰かが読むことなど望まない文書の
聞く人のない深き森の中で
枝が折れて落ちる
音にならぬ音
笑って透明のインクで
水に書いた歌を
復唱する
痛む人のない痛み
中空の月
通りすぎていく詩人たち
私は聞く人のない耳を笑い続けた