偽の彫像 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 

 私は偽の彫像を
 清らかな泉の迸(ほとばし)りの中に置いた


 崇め奉るためではなく
 忘れ去るために


 揺れる蜉蝣の羽のような水が
 溢れくる午后の翳りと一緒になって
 時を閉ざすようにと