愛してはいけない
もしもあなたが愛を描きたければ
抱(いだ)いてはいけない
その柔らかさを歌いたければ
愛さずに
抱(いだ)かずに
じっと耐えて
目を刃(やいば)にし
手はそのものではないところに置いて
愛したいのなら
抱(いだ)きたいのなら
描くことを
歌うことを捨て
ともに一つの息をすることだけを考えるべきなのだ
そこには冷徹な技の掟がある
そのものに酔いしれてはならぬという掟
酔って鑿(のみ)を振るえば
大理石の中に眠っているうらわかい女の肌は
目覚めることなく瑕(きず)ついて
乾いた粉へと崩折れてしまうだろう
愛することと
描くことの区別を知らぬ者には
愛することも描くことすら
できはしない
だから愛してはいけない
描くことに運命づけられたあなたは
そして
その女のやわらかな目覚めを願う限りは
決して愛してはいけない
そう
詩と恋文は違うのだ
恋文なら誰かに語りかけようとするだろう
でも詩は
月の光に照らされながら
一人で立っているようなものなのだ
誰も呼ばす
愛さず
抱(いだ)くこともなしに
そのものから薄氷のように乖離して
どのような解釈者をも許さない
そのものから薄氷のように乖離して
どのような解釈者をも許さない

