猫 久しぶりに見た 空を覆うほどに幾条も並んだ 真っ赤な夕焼けの雲 決して記録に留めてはいけない このひと時だけを 染めよと思うほどに赤い茜色 丘を降りる道の曲がり角 一匹の猫を拾った 僕だった 出会おうと願っていた あの頃の 誰にも何も言えなかった あの頃の 崩折れそうな紙の箱の中で きっと拾いに来るはずの 僕を待っていた 僕だった