十月 一匹の白い兎が 鼻をひくひくさせて 何かの匂いを嗅いでいた 秋の光の立ち止まる 笑む者がいる 遠い野のはずれの 今は亡き 井戸の跡に近づいた 明るい翳の腕時計 枯れた葉が鳴った 何処だろう 風の巻き上げて踊る音 マーチに紛れる午後のチャイム 壁に反射した静かな吐息と 空気に響く鳥の羽 たおやかに 逆らわずに 過ぎていった時間の 足下で 何事か秋の底を震わしている