花は醜い | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 花は醜い
 若い顔(かんばせ)のように頬そめて綻(ほころ)びながら
 色落ち冷たく萎(しお)れて枯れ果てる醜さよ

 この手にとれば
 かろきかなかろきかな
 あまりにもかろき
 そのかろさ

 そのままに乾いて
 尽きてゆく花
 ただ尽きるためにのみただ展(ひら)く花の夢の
 かくも美しきを
 我は夙(つと)に知らざりし