夕雲 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 雲が夕陽を背に受けて

 鴻(おおとり)のように翼を広げて近づいてきて言った


 眺めていたよ

 ずっとお前のことを

 お前が今日

 何時間も風の中に立ち

 鳥たちを眺めていたのを


 飛んでいきたいのか彼方へ

 それとも鳥になって

 水面(みなも)に揺れていたいのか


 
 今日見たものを語るがよい

 お前の時間において

 我らの時間において

 お前が我らの仲間になる日まで