秋深し | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




        ちゃっぷりんさんの『取引』
         僕はとんちんかんなコメントをする
         なんだかとても大切なことが生まれてくるような気がして
         でもそれが何だか分からないまま


   

 人は生きるために食う

 そうだとしよう
 ならば何のために生きるのか

 神を知らない僕は
 そりゃ多分食うためだろうと考える
 あるいはもしかして
 生きるために生きるのかと

 生きるために食い
 食うために生きる
 よって生きるために生きるとは

 果てしない堂々巡りの vivre pour vivre

 完璧なる論理学は
 いったい僕に何を教えてくれるのか

 「~のために」の論理学はトートロジーよりややこしい


 見上げた秋の空に
 ぽっかりと真っ白な

 人生の意味が浮かんでいた

 論理の揺らぎの遥か上
 堂々巡りから飛び出した雲


 秋深し

 隣は何を食う人ぞ





             「生きるために食べるために」にもっとあれこれ追加してみる
             生きるために食べるために働く」
             そうすると今度は
             「働くためには生きねばならぬ」がやってきて
             堂々巡りの輪が台風みたいに大きくなっていく
             噴き出してくる空気
             吸い込まれていく空気
             そこに何かがもう生まれてきているのかもしれない