白桔梗 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある




  風船花の名のごときやさしく膨らんでいた頬をほころばせ

  朝まだき白露に濡れ疾く咲いたのか失われゆく花白桔梗

  長く去った朋の帰郷を待ち望むかに風の内に揺れていた