私はあなたを愛さない
あなたが愛に応えないからではない
むしろあなたは愛が何かを知らなくて
私があなたを愛そうが愛さずにいようが
そんなことには全くおかまいもなしに
ずっといつまでも私の傍にいて
私を見つめていてくれるだろう
私はそれを知っているからだ
愛が何かを知らないままに
人を愛するということの不思議さ
あなたはその不思議さそのままの在り方で
そんな無名で無形の愛に
限りある私の愛は応えきれない
だからそんな拙い愛で愛すより
いつか尽きるような私の愛で愛すより
私はあなたを愛さない方を選ぶ
愛さずに
ただあなたの愛に愛されるだけの径を選ぶだろう
1と0との0を選んで
あなたの圧倒的な1に
何もない0として向き合って生きていきたいと
そんなことには気もとめず
あなたは跳ねるように近づいて
それから大きな目で私を見つめてから
そっと目を閉じる
あなたの閉じられた瞳の中に
何が映っているのかを私は知っている
そう
いつかきっとその場所にふたりして行き
あなたの見たものを
私もこの目で見て
夢でないことを確かめよう
とうとうその日がふたりに来るまでは
私はあなたを愛さない