一歩を昇って 一段を一歩昇って 自分が深く息をしたと気づくことがある たった一段のことなのに 後になって気づくことがある それが途方もなく長い一歩だったのだと 弓に抗う弦の きりきりと撓(しな)う音が ふっと立ち消えて 矢は振り返らずに 飛んでいく ぱん 朝靄の向こうの安土の上で 張り詰めた的が硬く鳴る その一声(いっせい) その一息 そうやって皆 時を 事を 人を過ぎ 自分を超えてゆくものと 確かに気づくときがある