午後に | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 ただそこに


 今いるところに座り給え


 そして見るのだ


 これといった特徴のない街の

 ありきたりの遠景の中を


 西から東に貫いていく


 昼下がりの

 光の道を


 広くたゆたいながら


 朝から昼へ

 昼から夕へ


 流れていく道を


 ああ

 今日も空が通りすぎて行くと


 君の左手の珈琲カップが

 そっと笑って  うらやましそうに  言うだろう  そして  それが君には  飛翔のように見えるのだ