その夜
若い三頭の狼たちが海を渡った
幼い雌は兎のように背を丸めたり伸ばしたりしながら
波と波の穂先を飛び跳ねていった
何一つ疑うことを知らぬまま
もう一頭の若い雌は湧き上がる愛のために
身を躍らせて何度も水柱に打ちあたり
信じるべきは自らのしなやかな身体しかないと心に決め
小さな群れを率いているかに見えた若い雄は
海原の上で赤い月の光を浴びたまま立ち尽くしては
一歩一歩歩いたが
やがて思考の最果てを見た
舌の上で躍った言葉が尽きたとき
三頭はもと居た浜に戻ることにした
風が戻れと呼んだと思ったからだ
けれど夜の海を駆け通した足は焼けるように熱く
陸に戻ると砂を燃やし
飛び跳ねては浜に点々と
グノシエンヌの一番のような
鬼火の子供たちをまき散らした
小節線のない楽譜の上の
正確な時のメトロノーム
夜よ
焔よ
若き狼たちよ
お前たちは陸を見失ったのだ
帰ったと思った浜辺はあの場所ではなく
お前たちはもう二度と戻ることのない
時の野原を焼く火となって
決して止まらぬ四本の足に導かれるまま
今宵を捨てて
定かならぬ明日の方へと
走り出していったのだ
夜よ
焔よ
青白き熱病のシンドロームの足跡を
くっきりと浜に残していった
燎原の狼たちよ
愛よ