川は稲だけでなく人々にも
潤いと
広い肥沃な土地を約束する恵みの神
けれど
橋がないか
有っても稀だった時代には
川は人と人を隔てるものであり
水かさが増して舟が出せないときには
急ぐ旅人たちを立ち止まらせ
川は境界線となった
恋の急ぎ足はときに人を溺れさせる
機織りに熱心だった織女と
働き者の牽牛が結ばれて
激しい恋情に燃え上がったとき
織られる機は減り
牛たちは病んだ
それゆえ天帝は我が娘を
男から隔てずにはいられなかった
かくて二人を隔てた天の川
川は時のごとくに流れるもの
ときにはゆるやかに
ときには激流となり
川が隔てる二人には
川の向こうとこちらという空間と
超えられない深き淵
それから過ぎていく時間の隔たりも
あるのだろうか
おうおうにして
川はその二人が作るものだとしても
天の川に
時を航行する船を
深き銀河の果てから果てへ
瞬く間に移動する船を浮かべて
その川を
いつでも自在に行き来することができるなら
常に相手の
心と身体をわがものに
常に自分の
心と身体を相手のものとする船あるならば
誰が恋することを怖れよう