踊る腕を伸ばしたような枝
美しい形の腕が踊りにつれて
くるくると回って
はたと止まるとき
まるでその踊り子の腕に降り立つ
無数の鳥のように
花水木の花がいっせいに咲く
透き通る白に一点の紅を落としたような花水木
ほんとうの花はその芯に群れて咲き
この上もなく美しい花の形はもともとは葉なのだというけれど
人はみなそれを花水木の花だと思うにちがいない
崖の上の館の庭の木のなかで一際
あざやかに五月の到来を告げる花水木
僕の大好きな花
大好きな季節
まるで街路樹のように居並んで
庭の周りを取り囲み
館を花の城にする
館の主になぜこれほどの数の花水木を植えたのかと
尋ねれば
理由はとくにないと言う
好きだということに
理由があるはずはない
美しいということに訳のあるはずはない
いのちに意味があるはずがない
咲き誇る姿の遥か向こうから
夕べの潮騒が押し寄せて
ただ花開くことを
ざわめきながら諾っている
波もまた意味を知らない
海もまた訳を知らない
この花に
われら取り囲まれて在ることの