春の魚 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 春の川にて

 小さき魚の一二匹

 流れに揉まれ

 水面を弾けて

 泳ぎけり

 鳥の来て

 瞬時に消えしものなれど

 束の間

 命を燃やしける

 快き一生なりや否やと

 問いたし

 我は