夜の音 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 聞こえるのは夜の海の波の音

 なんだか知らぬまに

 長い時が経ってしまっていたような気がする

 打ち寄せる波はどこから来たのだろう

 そして浜を濡らして

 またどこへ帰っていくのだろうか


 流されて

 その行方知れない波に流されて

 僕はどこまで行くのだろうか


 眉月が笑って僕を呼んだ


 せめて静かに眠るお前の

 息づいている胸の入江まで