夢色の靴下 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

サンタクロースの正体、いつ知った? ブログネタ:サンタクロースの正体、いつ知った? 銀星

 仲のいい兄と妹
 幼稚園に入ったときから
 クリスマス・イブには靴下を
 それもとても大きな靴下を
 ひとつずつ
 ベッドの柱に掛けて寝た

 願いがそのまま かなったこともあれば
 「きっとサンタさんはこう考えたのさ」と
 父親の説明一つで かなわなかったり
 したけれど
 そもそも誰にも はけない大きな靴下は
 仔犬を2匹頼んだときに
 お母さんが作ってくれた靴下だったし
 サンタにだけ送ったはずのお願いを
 お父さんがなぜだか知っていたりして
 二人ともサンタはお父さんか
 お母さんだとわかってた

 それからずっと何年も
 使い古した靴下はシミができたり
 ホツレたりしていたが
 それでもそれを色んな糸で繕って
 できた夢色の靴下を

 ところがある年
 お父さんが忙しくて
 ヨーロッパだかどこか遠い国にいて
 3人でクリスマス迎えることになり
 あと5日でクリスマスという日
 お母さんが急病で入院した

 親戚が家に来てくれていたけれど
 でも今年はきっとサンタは来ないと
 二人はあきらめて でも
 心の中でお願いはした

 明るい冬の朝
 靴下は予想したとおり
 ふくらんでいなかったけれど
 中に一枚ずつ
 同じ文面のカードが入ってた

 「ふたりの願い 聞き届けた」と

 そしてクリスマスの昼前に
 二人のサンタが
 肩抱き合って
 帰ってきた

 繕って使いつづけた
 夢色の
 靴下に入ってた
 あのカード
 きっと
 本物のサンタがくれたのだと
 ふたりは今も信じてる





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