読みかけの本 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 なんとなく表紙とかが気に入って
 買ってはみたけど パラパラと
 途中のページを読むだけで
 ほっておいた本

 ふと一言が気になって
 100ページも読み返し
 けっきょく全部読む本がある

 それは少しだけ
 僕たちの人生模様に似ているか

 かなうことなら
 すべての時間を巻き戻し
 すべてが起きた最初から
 たどってみたい事がある

 幾重にも折り重なった地層の中の
 小さな化石を探すみたいに

 出会いという
 不思議な出来事の一部始終と
 大切な一瞬のキッカケは
 いつまでたっても本当には
 つかめないけど

 読み返せば見つかることも
 少しは有って
 それが今に役立つかどうかは
 わからないけど

 それでもページをパラパラと
 めくって確かめたくなる言葉が
 あるものさ
 あれは誰がいつどんなときに
 と

 今と昔のはざまにて
 生きている時間と
 日記に残しおかれた時間との
 ウサギと亀の徒競走

 どちらが先に行き着くか





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