醜悪すぎる人間の姿 | へっぽこハンター日記

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新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』観ました。

旧作につき、ネタバレあります。

 

 

戦後の日本、血液銀行に勤める水木は、

懇意にしてもらっている製薬会社の龍賀社長が暮らす哭倉村を訪れます。

 

巨万の富を持つ龍賀一族の長・時貞が亡くなったため、

その長女の夫である彼が跡継ぎになるだろうと思われたので、

水木は会社を背負って、彼とより親しくなっておこうとしたのです。

 

しかし、遺言では、

心を病んで表舞台には出てこない長男の時麿が跡継ぎとなります。

 

思惑が外れてしまった水木でしたが、

翌日、時麿は怪死してしまいます。

 

村人たちは周辺をうろうろしていたよそ者を捕らえ、

犯人ではないかと疑い、その場で殺そうとします。

 

水木がそれを止めたところ、

男は殺されず、牢屋に入れられることに。

そして、その監視役として水木まで牢屋の向かいに寝泊まりするはめに。

 

その男は自分では名乗らないため、

水木が「ゲゲ郎」とあだ名をつけます……

 

 

 

話題のゲゲゲの鬼太郎の前日譚のアニメ映画です。

もうアマプラになったので観てみました。

 

悲惨だった……

 

田舎の不条理な慣習や集団ヒステリーにまつわるホラーのことを、

“ムラ系ホラー”と呼びますが、

この作品は実際にばんばん怪異もあるんですけど、

やっぱり人間の欲望の醜さのほうがえぐかったです。

 

特にこどもをつくるって話と、

秘薬の製造方法の話がえげつない。

妖怪よりも、

醜悪すぎる人間の姿のほうが怖いで。

 

ひとりの絶対的な権力者が暴走したとき、誰も止められないという事実、

そんなことあるかよと思いたいけど、

現実にもあるからな……

 

村人がそれに荷担している事実もまた、

この映画の醜い人間性を表すところ。

いやもう、呪い返しくるわ、そら……

で、全員の怨霊に襲われて死んでほしかったわ、あいつ……

地獄で鬼に可愛がってもらえ……

(*`エ´)

 

 

あと、長女の娘・沙代さんが、

ここから連れ出してほしいと水木に頼むんですが、

こういうとき、なぜ恋愛でないといけないのかと思いましたね……

あなたのことは助けたいが、

あなたと結婚したいわけではない……

でも彼女にはそれしかない。

田舎の、大変限られた環境で育てられて、

女性が外に行くのは嫁に行くときしかないと思っている。

 

“恋愛に憧れる乙女”という図は、

ある意味そうなるように仕組まれてつくられた姿なんよね。

女性は男性と一緒になることでしか生活できないと思わせられてるので、

どんな相手がいいかをずっと考えてる、という図なんですよ。

 

こないだ夜中にスカパーでディズニー実写版の『美女と野獣』やってて、

ついまた観ちゃったんやけど、

あれも、仲良くなる過程で、

「友達じゃだめなんか」と思ってしまう……

そんなことを言ったら身も蓋もないんでしょうが、

でも人から愛されるかどうかって恋愛だけの問題じゃないし、

王子の性格を心配してるなら、

カノジョがいるかどうかよりも、

友達がひとりもいないほうがヤバいと思うよ……

(^_^;)

 

 

話それましたが、

僕みたいな色恋沙汰に興味のない独身貴族からすると、

無理したり苦しい思いをしたりしながら、

結婚したり、夫婦生活を続けるのって、意味不明すぎる。

 

あと、権力者にはとにかく従っておくという流れも理解できない。

生まれたときからそういう環境だったら、

そこに疑問を持たないんだろうか……

僕は物心ついたときから、納得いかないことがいっぱいで、

ノーと叫び続けてますがね……

 

 

戦争の醜さもきちんと描いていて、

そこから這い上がろうとする水木のガッツや勘の良さは、

この映画の良いところでした。

 

鬼火かなんかにタバコの火をつけてもらうシーン、良かった。

 

そしてラスト、記憶を無くした水木が、

空き家でゲゲ郎とその妻を見つけ、一旦逃げるけど、

また戻ってきて、

生まれた赤ちゃんの面倒を見ると決めるの、

(台詞はなかったけどそういうことやんね?)

とても良かったです。

 

ゲゲ郎が鬼太郎に似ていて、

「目玉のおやじ、あんな顔やったんか」と驚くのも楽しかったです。

 

 

評判になるのもわかるけど、

悲惨すぎるので僕は二度と観たくないな、

へっぽこハンターコトワでした!

(^_^;)