『テス』観ました。
すごい旧作につき、ネタバレあります。
悲惨な話でした……
貧乏な農家の女性テス(ナスターシャ・キンスキー)は、
遠縁にあたる裕福なダーバヴィル家に奉公に出されます。
そこの息子アレック(リー・ローソン)は彼女の美貌に目をつけて彼女を暴行。
彼女は妊娠してしまいます。
彼を愛することができないので(あたりまえ)、
愛人にするという彼の申し出を断って帰郷して出産しますが、
赤ちゃんはすぐ亡くなってしまいます。
別の農場に働きに出たテスは、
そこでエンジェルという若者(ピーター・ファース)と出会い、
恋に落ちます。
結婚を前に、彼が過去の過ちを話してくれたので、
その誠意を信じて、
テスも過去の来事を話しますが、
ショックを受けたエンジェルは彼女を置いてアフリカへ行ってしまいます……
トマス・ハーディの有名な文芸小説『ダーバヴィル家のテス』の映画化作品です。
僕は学生時代、いつもこのタイトルと『バスカヴィル家の犬』とがごっちゃになってましたね。
(^_^;)ﾄﾎﾎ
ほんまにひどい話で、
いったいこれのどこが名作と言われるのか……
まあでもけっこう文芸作品ってそういうところあるよね。
映画にすると少し別の要素が加わりました。
小説では台詞や動きがないとき、
キャラクターの行動は描かれないけど、
映画ではそこにずっと映ってる。
父が亡くなったことで、
母とすごい人数の弟妹が路頭に迷うことになり、
テスは仕方なく愛人契約を受け入れることにするのですが、
その前に教会でふらっと先祖のお墓を眺めるシーンがあり、
そのときの少し不思議な表情とか、
家族がバタバタしているときにふっといなくなる感じとか、
なんていうか、年齢よりも幼い感じがあって。
そこが、貧しくて、教育を受けられなかった、
でも、美貌のせいで若い頃から大人扱いされていた、
そういうアンバランスさがあるように感じました。
彼女が悪いわけではないのに、どんどん悪い方に転がっていき、
やがて彼女はすべてを諦める。
彼女がもう少し賢かったら、
なにかが違っていたかもしれないけど、
貧しい女性を取り巻く環境が悪すぎた……
このポスターにも、
「これをレイプと呼ばない、
誘惑と呼ぶ世界に彼女は生まれた」と書いてあって、
そうなんよな、
美人のメイドがやってきて、旦那さんのお手がついた、
それはメイドが美人なのが悪いっていう世界なんよ。
マジで気持ち悪いぜ……
性的暴行はなぜかほかの犯罪と違って、
被害者が悪く言われがち。
それは今もそういうところあって、
意味不明なんよな……
なんで、アレックはもちろん許せんが、
エンジェルもたいがい許せんで、俺は……
あと、家の話で言うと、
テスの苗字はダービーフィールド。
この貧しい農家は分家で、
もとを辿ると由緒正しいダーバヴィル家になるらしい。
で、そのダーバヴィル家を今名乗っているのが、
彼女を襲ったアレック。
それで『ダーバヴィル家のテス』っていうタイトルなのは……
ちょっと不適切なような……
“ほんまはええとこの子やのに”という、
うっすらとしたバックがあるのも、
逆にいっそうわびしい気がしました。
良かったところは……
ナスターシャ・キンスキーがほんとうに美しかったです。
愛人になって、きれいなドレスを着て階段から降りてくるとき、
遠い世界の人になった感が半端なかった。
お話の内容上、テスはすごい美人でないといけないので、
このキャスティングの説得力はすごいと思いました。
あと、ブログタイトルね。
最終的にアレックを殺してしまったテスが、
エンジェルに言った言葉。
「以前手袋を投げつけてやったら彼は出血してた。
だから殺せると思ったわ」
血が出るなら殺せるて！！！
プレデターじゃん！！
(≧▽≦)
まさか、『プレデター』で、
アーノルド・シュワルツネッガー扮する軍人ダッチが、
姿の見えない得体の知れない宇宙人が出血していることに気づいて言う、
「血が出るなら殺せるはずだ」という名台詞を、
文芸映画で聞くことになろうとは！
(*￣∇￣*)
思わず吹きだしてしまいました、
へっぽこハンターコトワでした。
(;〃ﾟAﾟ)y─┛~~
テスもこの勢いで生き抜いてほしかったなー。
そしたら別の映画になっちゃうけど。
(≧▽≦)ｱﾊﾊ